長崎原爆きょう77年 「平和祈念式典」3年ぶり一般参列

被爆77周年 長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典

 被爆地長崎は9日、77回目の「原爆の日」を迎え、長崎市松山町の平和公園で午前10時40分から「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が営まれる。遺族や被爆者のほか、岸田文雄首相、米国など核保有国6カ国を含む過去最多の83カ国の大使らが参列予定。ロシアのウクライナ侵攻で核兵器使用リスクが高まる中、核廃絶と恒久平和実現への誓いを新たにする。
 新型コロナウイルス感染防止のため取りやめていた一般参列を事前申し込み制で3年ぶりに再開。全体で1700人規模となる。市はウクライナ侵攻を理由にロシアを招かなかった。安倍晋三元首相銃撃事件を受け、会場内の大テントに県警が制服の警察官を配置するなど警備を強化する。
 式典では7月末までの1年間に死亡が確認された被爆者と「被爆体験者」計3160人の原爆死没者名簿3冊を奉安。累計奉安数は19万2310人分となる。被爆者健康手帳を持つ全国の被爆者は3月末時点で11万8935人。平均年齢は84.53歳と高齢化が進む。
 原爆がさく裂した午前11時2分に黙とう。田上富久市長は「長崎平和宣言」で、核使用リスクが高まる中、危機をなくすには「廃絶」しかないと訴え、日本政府と国会議員に核兵器禁止条約への署名・批准を要請する。6月にあった同条約第1回締約国会議に参加した宮田隆さん(82)が被爆者を代表し、「平和への誓い」を読み上げる。
 屋内会場の出島メッセ長崎(尾上町)と長崎原爆資料館ホール(平野町)は午前9時半に開場。式典の映像を中継。県内各地でも平和集会や追悼行事が営まれる。平和公園では8日、リハーサルがあり、関係者らが本番の流れを確認した。


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