【夏の甲子園】横浜「らしさ」満載の4安打で4得点 追い込まれてからのワンチャンスものに 

【横浜―三重】3回裏横浜2死一塁。暴投で一走鉾丸が一気に三塁を陥れ、チャンスを広げる=甲子園

◆横浜4―2三重

 4安打で4点。そして得点はすべて2死から。横浜は聖地でも「らしさ」を爆発させた。

 三回1死から8番・鉾丸が四球で出塁する。「2ボールになったので、打席で少し前に立ってピッチャーの目線を変えた」と鉾丸。工夫で呼び込んだフォアボールを「積極的に攻めることができた」と振り返る。そして一塁から盗塁のスタートを切った場面で捕手が後逸。「キャッチャーの動きが見えていた」(鉾丸)と、ノンストップで三塁に。自身は初の甲子園だが、磨いてきた判断に迷いはなかった。

 そして、打席には1番・緒方。ここまで無安打の横浜打線は、2巡目は「膝より低い変化球に手を出さない」ことを意識していた。2ボール2ストライクからやや浮いたチェンジアップを右中間に運び、「うまく拾い上げることができた」(緒方)。狙い通りの先制打だった。

 連打の板倉の右前タイムリーも1ボール2ストライクから。「1点では杉山が苦しいと思って食らい付いて打った」(板倉)。練習で「一度しかないその日の初球」を意識してきたという日々が、貴重な1本に集約されていた。

 八回の岸本も含めて、3本のタイムリーはいずれも追い込まれてから。ここしかないワンチャンスで決めてみせた。主将の玉城は「初戦で朝も早く、体が動いていなかった」と明かしたが、緒方は「去年は『わー、甲子園だ』と気持ちが先行してしまったが、今年は周りが見えている」。

 難しい初戦をらしさで突破した。玉城は「今日の課題と向き合い、大会を通じて強くなっていく」と気合を入れた。

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