「日本の役割は…」核兵器のない世界に向け 政党党首らが討論会

9日は、長崎 原爆の日ですが、77年前に使用された2発の核爆弾は、筆舌に尽くしがたいほどの犠牲を生みました。8月6日の前日、広島市で各政党の党首などが「核兵器のない世界に向けた日本の役割」について議論する討論会がありました。

討論会は、核兵器廃絶日本NGO連絡会が開催したもので、オンラインも含め5人の党首を含む8つの政党の代表者が参加しました。

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自民党からは宮沢博行国防部会長が出席。NPT(核拡散防止条約)を活用していくことが重要としたうえで…。

自民党 国防部会長 宮沢博行衆院議員
「まずは通常戦力、防衛力の増強によって均衡を勝ち得て、その安定のもとで核兵器の削減へ進んでいく、これが重要なアプローチ方法だと思っております」

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この考えに対し、議論に参加した国際政治が専門の東京大学の藤原帰一名誉教授は、「通常兵器による抑止は核抑止以上に不安定。だからこそ、抑止力と緊張緩和がセットにならないと問題解決はしない」という考えを示しました。

自民党と連立を組む公明党の山口那津男代表は、「核兵器禁止条約へのオブザーバー参加できるように環境整備を進めていく」と主張しました。

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また、国民民主党の玉木雄一郎代表も「核兵器禁止条約にオブザーバー参加をして、被爆の実相を訴え続けることが必要だ」と述べました。

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オンラインで参加した立憲民主党の泉健太代表は、「核共有や核兵器を持つことは日本がとる道ではないと各政党が明確にするべきだ」と主張。

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共産党の志位和夫委員長、れいわ新選組の櫛渕万里衆院議員、社民党の福島瑞穂党首は、いずれも核兵器禁止条約にただちに批准すべきと訴えました。

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一方、日本維新の会の藤田文武幹事長は、「日本の交渉力を上げるために核共有をしていくべきだ」という考えを示しました。

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藤原名誉教授は、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ「核兵器使用のエスカレーションを阻止することと、侵略者に大きな利得を獲得させないことを両立させることが、いかに難しいかにまず目を向けてほしい」と指摘しました。

藤原帰一名誉教授
「今、わたしたちが立っているのは、新たな戦争の時代の中なんだということ、今、起こっているんだということ、これは念を押しておきたいところです」

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討論会には、母親の胎内で被爆し、重い障害を負った原爆小頭症被爆者や家族の会も参加しました。

兄が小頭症被爆者 長岡義夫さん
「最も戦争から遠い存在である胎児を傷つける兵器が、平和を守ることができるはずはありません」

長岡さんは、「二度と小頭症の人を生み出してはならない。核兵器廃絶こそがわたしたちの願いです」と訴えました。

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