劇場版『Gのレコンギスタ』佐藤拓也 インタビュー

「この仕事がどこかの誰かの役に立っていることが幸せです」

2014~15年にかけて放送されたテレビシリーズを経て、劇場版となった『Gのレコンギスタ』。新規カットを加え物語を再構築しており、全5部作で構成。19年から順次公開されていて、クライマックスを迎える第4部「激闘に叫ぶ愛」と第5部「死線を越えて」が現在公開中だ。そんな『G-レコ』にメインキャストとして出演している佐藤拓也にインタビュー。自身が演じているマスク(正体はルイン・リー)のことや、共演者との思い出などを語ってもらった。

――第4部と第5部は、新規カットが特に多いそうですね。

「そうなんです。第1部の収録の時には、富野(由悠季)さん(原作・脚本・総監督)がすでに『第4部と第5部は描ききれてないことがたくさんあるから大変だ!』とボヤいていました(笑)。でもそれは、いち視聴者として考えた時に期待でしかありませんでした」

――では、その時点で新たなエピソードが描かれることもなんとなく知っていたんですね。

「はい。第4部までくると、ベルリ(石井マーク)たちは宇宙に出て、いわゆる“世界の真実”をのぞきに行くわけですけど、その裏であった戦いって、テレビシリーズではあまり描かれていなかったところなんですよね。そういったところを新規カットで描いていて、空白を埋めさせてもらえるので、やる側としては非常にうれしかったです」

――確かに、マスクに関しては“この時何をしていたのか気になるな”と思う部分もありましたもんね。

「結局テレビシリーズの時って、“マスクたちが何か成し遂げたのだな”という部分は分かっても、“実際に何をやったのだろう? 何が起きていたのだろう?”というところは描かれなかったんですよね。結果を知って、想像するほかなかった」

――“ついに演じられた”という感覚もあるかと思いますが、いかがでしたか?

「例えば、第4部の予告。ご覧になられた方は、マスクが最後に(ベルリに向かって)とんでもないせりふ(「殺人者!」)を叫ぶ場面も見ていると思います。演じている側としては当然、感情を乗っけてやっているんですけど、第三者からすると“どの口が言ってんだ!”と思うんですよね、きっと。それを言えるマスクのメンタルって、一体どんなものなんだって思うはずです。でも、この時のマスクは理不尽なほどに本能的で、特に、ベルリへのマスクの気持ちがより鮮明になるので、演じ手としてすごく充実感がありました」

――実際に収録してみて、テレビシリーズとの違いは感じましたか?

「大きな意味で言えば、違いは感じなかったです。新しいシナリオが増えたからといってマスクはマスクでありましたが、それぞれの人物像が深掘りされていたように感じました。それこそ、テレビシリーズから7~8年経っていますけど、気持ち的には地続きでお芝居を作れましたね。自分が思っていた以上に、マスクという人物がちゃんと僕と紐付いていたな、残っていたなと感じられました」

――また、新たに録り下ろしたシーンもありますが、78年前の音声をそのまま使用する場面もあるとのこと。そうなると、過去の声を踏襲した芝居が求められるかと思いますが、難しさは感じましたか?

「芝居のうまい下手って、こちらが判断することではないと思っているし、結局は見てくれた人の好き嫌いだと思うので。ただ、年を重ねるごとに声色は変わってきていると思うんです。生きているので。それでも成長している自分を見せたいという気持ちはどこかにありました。とはいえ、そこの芝居だけ浮き出てしまってはいけないし、かといって昔をなぞるような芝居をするのも違う気がして…。過去の自分の良いところと、今の自分の良いところをうまくミックスさせてよりいいシーンにできたらいいなとは思って臨んでいました。そこは挑戦できたなと思いましたし、楽しかったです」

――劇場で見るのが楽しみです。ところで、今回、佐藤さんは週刊TVガイドの声優連載初登場となりました。「TVガイド」はテレビ誌ということで、佐藤さんのテレビ事情を伺いたいです。最近、テレビはご覧になりますか?

「見ますよ。アニメ以外だと、最近はドキュメンタリーが好きです。分かりやすいところだと、『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)とか、『ファミリーヒストリー』、『ドキュメント72時間』(ともにNHK総合)はよく見ていますね。国内外問わず、そこに生きる人たちの人生をのぞき見するのが好きです。ドラマも見るんですけど、ついつい見入っちゃうのはドキュメンタリーが多いかな。お風呂に入ろうとしていたのも忘れて、“あっ、これやってるじゃん”と夢中になって見ることもあります。服、脱ぎかけで…(笑)」

――(笑)。では最後に、「TVガイド」が8月で60周年を迎えたということにちなんで、一つの物事を長く継続するために大切にしていることを教えてください。

「やっぱり、大好きでいることが一番じゃないですか? 嫌いなことって続けられないですから。僕の場合は、芝居が大好きですし、お仕事自体も大好きです。だから、すてきな人たちの中で芝居をすることが大好きなんですよね。それに、この仕事がどこかの誰かの役に立っていることが幸せです。極端なことを言うと、僕らの仕事って食べ物や服みたいに生活に直結していないから、なくても生きていけるものなんです。だけど、ふとした時に誰かの息抜きにはなれる。好きなことをして、そんな気持ちをいただけることが僕はすごく幸せです」

【プロフィール】

佐藤拓也(さとう たくや)

5月19日、宮城県生まれ。A型。アニメ「神クズ☆アイドル」、「新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP」(ともにテレビ東京ほか)などに出演。「VAZZROCK THE ANIMATION」(TOKYO MXほか)が10月スタート。

【作品情報】

劇場版『Gのレコンギスタ Ⅳ』「激闘に叫ぶ愛」
劇場版『Gのレコンギスタ Ⅴ』「死線を越えて」
全国公開中

14〜15年に放送されていたテレビシリーズを劇場版として再構成。物語の大筋となる、資源が枯渇した地球を救うエネルギー“フォトン・バッテリー”を巡るベルリ(石井)たちの活躍はもちろん、その裏でマスク(佐藤)たちがどんな功績を残したのか、なども新規で描かれる。

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取材・文/松本まゆげ 撮影/藤木裕之 ヘアメイク/清宮令子 スタイリング/DAN

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