福井県の大動脈が4日ぶり復旧「ありがたい」 国道8号通行止め解除、片側交互通行で渋滞も

通行止めが解除された国道8号の片側交互通行区間=8月9日、福井県南越前町大谷

 8月5日の大雨による土砂災害で通行止めとなっていた福井県の嶺北、嶺南を結ぶ大動脈がようやくつながった。国道8号では開通直後から物流関係の大型トラックや帰省、観光客の車が早速、次々と通過した。ドライバーからは「無事に荷物を届けることができる」「迅速な復旧作業に感謝」と安堵の声が聞かれた。

 国道8号は9日午前5時、南越前町桜橋交差点―敦賀市大比田交差点間の約9.4キロの通行止めが解除された。同町内で路肩崩落が1カ所、土砂流出が4カ所発生し、土砂の撤去や路面清掃などが続いていた。

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 解除後も路肩、斜面に土のうやブルーシートが残っている箇所がある。路肩崩落が起きた同町大谷では約100メートル区間が片側交互通行。福井河川国道事務所によると、9日午後6時には福井方面で約11キロ、敦賀方面で約7キロの渋滞が発生した。

 鯖江から敦賀へ荷物を運んだ石川県のトラック運転手の男性(63)は「3日分の荷物をまとめて届けた。開通までもっとかかるかと思っていた。工事関係者に感謝したい」。福井県内でスーパーを展開する福井県民生協(本部福井市)は、福井市内の物流センターから嶺南3店舗へ5時間以上かかる広域迂回で商品を届けていたが、4日ぶりに県内ルートで配送。担当者は「(北陸自動車道の開通により)嶺南行きは高速、嶺北行きは国道8号というスムーズな流れにつながってほしい。先が見えて少し安心した」と話した。

 通勤者や帰省客からも喜びの声が聞かれた。普段、電車や車でJR福井駅近くの保険会社に通う敦賀市の50代女性は5、8日は在宅勤務し、9日は県の緊急バスと電車を使って出勤したという。女性は「取引先を車で回ることができなかったので、本当に助かった」とほっとした様子。妻の実家がある福井県坂井市へ向かうため国道8号を利用した大阪府大阪市の男性(47)は「あわら温泉の旅館を予約していた。開通してくれてありがたい」と話した。

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