【イベント報告】中高生向け夏休みオンラインイベント「国境なき医師団で働くって、何だろう?」

国境なき医師団(MSF)は7月31日に中高生向けオンラインイベント「国境なき医師団で働くって、何だろう?」を開催しました。各国で医療・人道援助活動に参加し、現在は日本事務局で海外派遣スタッフの採用を担うガスパー・シュラキ、白川優子、松本卓朗が、活動地での経験ややりがいなど、MSFで働くリアルをお伝えしました。

今回のイベントには、中高生の皆さんを中心に約140人の方々にご参加いただきました。質疑応答では参加した中高生から登壇者に直接質問をしていただき、危険を伴う活動地への派遣に対する家族の理解などについての質問にお答えしました。

<参加者の感想>

高校生

将来看護師になって、看護師としての経験を積んだ後に海外派遣スタッフに応募してみたいです。また、派遣先で積極的にコミニュケーションを取れるよう語学力を向上させようと思いました。

中学生

今まで非医療スタッフについてあまり知らなかったけど、医療だけではなくロジスティシャンや、資金と人材の管理、精神面のサポートなど様々なことをやっていると知りました。私は医療に関われるか今は不安ですが、非医療の道があると知り心理士や建築などの仕事だったら私でも現場に携われると思い、自分に出来ることを考えていきたいと思いました。

イベントは以下より視聴できます。ぜひご覧ください。(再生時間:約75分)

※音声の不具合で、松本卓朗の声が聞き取りにくい箇所があります。下記の発言要旨をご参照ください。
0:18:15~ 私がMSFで初めて行った国はアフリカのマラウイでした。そこで一番初めに実施したのは、マラウイの何百万人の子どもたちにはしかの予防接種を打つというプログラムでした。初めてのアフリカで緊張していましたが、現地の人たちが助けてくれましたし、仕事を真剣にしながらも冗談を言って笑いが多く、非常に平和な雰囲気でした。 0:27:05~ 南スーダンに行った時の仲間との話です。私はホスピタルロジスティシャンとして、病院のインフラ整備を担当していました。雨期になりマラリアの患者さんが増加し、病院のベッドの追加が必要になりました。そのためとても忙しくなりましたが、私は誰かに頼むことができず、1人で遅くまで仕事をしていました。ある日の夜、ロジスティシャンの同僚3人が、「遅くまで1人で仕事をしているのに、なぜ助けを求めないんだ。みんなでやったほうが早く終わるよ」と声をかけてくれました。涙が出そうなくらい嬉しかったです。私はみんなに指示を出し、ベッドを増やすことができ、医師や看護師にも喜ばれました。全部自分でやろうとせずに、仲間に頼っていいのだと分かった、とても良い経験でした。 0:33:15~ オーストラリアに英語を勉強しに行き、帰国したときに今後のことを相談した際に父親からMSFに入ることをすすめられました。調べてみたところ、自分に合っているかもしれないと感じ、MSFに入りました。MSFに入ろうと考え始めたのは、27歳の頃でした。 0:43:36~ MSFに入る前は、高専を卒業後、病院の機器を修理するエンジニアをしていました。英語が話せればもっといろいろなことができるのではないかと考え、5年勤めたエンジニアを辞めて、ワーキングホリデーでオーストラリアに行きました。MSFでも医療機器を使いますし、電気は得意分野なので、エンジニア時代の理系のテクニカルなバックグラウンドはMSFの現場でも非常に役に立ちました。 オーストラリアには2年間滞在しましたが、当初はHelloとThank youくらいしか使えなかったので、語学学校に行って、自分でも一生懸命勉強したな、と言えるくらい勉強しました。ワーキングホリデー中は、バックパッカーとして東南アジアの国を何カ月も一人で旅しました。1人で安宿に泊まりながらいろいろなところに行くとハプニング、問題もあり、自分を頼るしかありません。大げさに言うと生きる力が身に付きました。MSFでの活動にはこの経験も役に立ったと感じます。この写真はラオスでの写真です。自分が泊まった中で1番安い、一泊1ドルのところでした。 1:03:26~ MSFの活動にはさまざまなリスクがありますが、安全管理の担当者がいて、状況を分析し、どうすれば事件や事故が起こらないか、起きたとしてもダメージを最小にするにはどうすれば良いかを常に考えています。救うべき人がいるからといってやみくもに現地に赴くわけではなく、自分たちの安全を確保したうえで、行けるかどうかを判断します。セキュリティに関しては慎重です。また、派遣先のセキュリティが十分とは思えず不安であれば、ここにはいたくないという意志表示をできるし、MSFはそれを尊重します。 家族にMSFへの参加をすぐに納得してもらうのは難しいと思うので、時間をかけて自分の気持ちを伝えてほしいです。MSFのウェブサイトにもスタッフがどのように家族の理解を得たかという記事もあるので、参考にしてください。 1:07:27~ MSFの活動地では病院やスタッフの居住する場所がないこともあります。そういう場合は、建築士が設計し、現地の方と一緒に建築する必要があります。日本のように充実した資材や重機があってすぐに病院が建つことは少ないです。現地の気象条件や文化を加味しながら病院をデザインするということが求められます。それだけでなく、現地の方に指示を出して動いてもらうなどの包括的な建築のスキルが求められます。

講師派遣について

国境なき医師団では、若い世代に世界で起きている人道危機を伝え、行動を起こすきっかけとするため、小学生向けの教育プログラムや、中学校・高校へ海外での援助活動経験者を講師として派遣する、講師派遣活動に力を入れています。詳しくは下記ページをご参照ください。

講演・小学生向け教育プログラム

海外派遣スタッフとして働く

人道危機の現場で医療・人道援助活動に当たるスタッフを募集しています。医師や看護師だけでなく、人事や財務、調達などを担う非医療スタッフも多く活動。求める人物像やスタッフ体験談を掲載しています。

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