BMWのLMDh車両、バルセロナとアラゴンで走行後に渡米。セブリングでの24時間テストに参加へ

 BMWが開発中のLMDh車両『BMW M ハイブリッド V8』は、2023年にIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPクラスに、そして2024年にはWEC世界耐久選手権のハイパーカークラスへと参戦する。

 2023年1月、IMSA開幕戦デイトナ24時間レースでのデビューへ向け、7月にはシャシーパートナーであるダラーラ社があるイタリア・バラーノでシェイクダウンを行ったことを明らかにしているが、陣営はこのあと、スペインのバルセロナ・カタルーニャサーキットと、モーターランド・アラゴンでテスト走行を行い、その後M ハイブリッドV8を米国へと送り込む予定だという。

 IMSAでのチーム運営を担うチームRLLのテクニカル&レースオペレーション・ディレクターであるブランドン・フライによると、テスト車両は9月初旬にアメリカへと到着するという。

 この車両は、チームRLLが新たにインディアナポリスに設けた10万平方フィート規模のヘッドクォーターに収められる、最初のレーシングカーとなる予定だ。

 RLLは、開発チームのRMG、BMW Mモータースポーツ、そしてダラーラの担当者とともに、ヨーロッパにおける初期テストの構築とオペレーションに取り組んできた。

「ロールアウトには、我々のスタッフも何人かいた」とフライは語った。

「レースエンジニア、パフォーマンスエンジニアもその場にいた。すべてが協力体制のもと、行われたんだ」

「マシンがこちら(アメリカ)に来るまでは、テストやマシンの組み立てをサポートするためのスタッフを送り込んでいる。(ハイブリッドなど)非常に複雑なクルマなので、多くの課題がある。どのマニュファクチャラーも、それぞれ時間をかけてそれらを解決しているのだと思う」

「ロールアウトはポジティブなものだったし、物事は前に進んでいるよ」

 フライによれば、9月にはBMW M ハイブリッドV8はセブリング・インターナショナル・レースウェイでの24時間耐久テストを含む、いくつかのLMDh車両合同テストに参加するという。その後、10月3〜5日にミシュラン・レースウェイ・ロード・アトランタで予定されている、最初のIMSA公認テストで走行する予定だ。

「(LMDhに参入する)マニュファクチャラー各社は、お互いの計画を共有している点において、とても良い状態にある」とフライ。

「このプログラムの初期には、『テストではこのようなことをしたい』という意図があった。誤解を恐れずに言えば、我々は多くのテストをしているが、その当初のプランと現在我々がテストでしていることは、まったく異なっている状態だ」

「トラックテスト(を予定どおり進めること)は難しいし、スケジュールは非常にタイトなものになっているからね」

 なお、ロールアウトのドライバー役を担ったコナー・デ・フィリッピは、「この経験をした最初のドライバーとなったことは、本当に光栄なこと」であると述べている。

 カリフォルニア出身、29歳のフィリッピは、シェルドン・ファン・デル・リンデとともに、バラーノでのシェイクダウンに参加。その後、さらに2日間バラーノで追加の走行を行っている。

 これまでBMWのGT車両を中心にアメリカでレースを戦ってきたフィリッピは、LMP3車両のドライブ経験が、LMDh車両を運転する上で助けになった、と語っている。

「LMP3マシンを運転することで、すぐに心地よさを感じることができたと思う」とフィリッピ。

「クルマの中では、とても快適に過ごすことができた。バラーノは小さなサーキットだから、それについて多くを語ることはできない」

「僕の右足の下に置かれたパワーについては、これまで(にドライブしたクルマのなか)で一番だった。かなりクールな経験だったよ」

BMW MハイブリッドV8に乗り込むコナー・デ・フィリッピ

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