【ちゃんこ?しゃんこ?】北海道のひとなら知ってる「子供盆おどり」って一体?

北海道のお盆の記憶といえば、小さいころに近所の公園で行われていた「子供盆おどり」。お菓子目当てに、やぐらを囲んで何周も踊りましたよね。頭に残っているサビの歌詞って、ちゃんこ?しゃんこ?一体どっち?

子供盆おどり唄の正式な歌詞は「シャンコ」が正解

歌詞の中の「シャンコ」は、馬につけている鈴の「シャンシャン」という響きを表現したものと言われていますが、この部分を「チャンコ」だと思っていた方も多いはず。発音が似ているので間違えやすいという理由もあったと思いますが、実はもう一つ理由がありました。

この歌が世に出たのは1952年(昭和27年)。そして、1995年(平成7年)にオリジナル版とは異なる、タンポポ児童合唱団による新しい音源が製作されました。この時点で最初に作られた音源が40年以上もずっと使用されていたことになるので、新しいものを作ろうという話があっても不思議ではありません。

しかしながら、こちらのバージョンは原作者に無断で歌詞の「シャンコ」の部分を「チャンコ」に変え、さらに3節までだった歌詞がなんと8節まで増えていました。

当然ながら著作権上問題となり、結果的に2002年(平成14年)には廃盤になります。それでも約7年間は多くの会場で使用されていたと思われますので、その間に「チャンコ」がある程度根付いたのではないでしょうか。

歌碑に刻まれた正式な歌詞

途中そのような出来事があったものの、今でもほとんどの会場では最初に録音されたバージョンが使用されています。70年以上も前に作られた音が、そのままの形で流れているのはすごいことですよね。

なお、数年前まではAmazonでカセットテープを購入することができましたが、記事執筆時点(2023年6月)では在庫切れとなっていました。

子供盆おどり唄のカセットテープ
テープの中に入っている紙では振付の解説が

そして意外にもこのテープはCD化されておらず、現在はこちらのCDに収録されているものが唯一のCD音源と言われています。

[仏教讃歌] 仏教童謡 みほとけさまのこどもたち~花まつり行進曲入(CD)

作詞は江別市の先生

オリジナルの『子供盆おどり唄』が発表された昭和20年代、日本は戦後の復興とともに盆踊りが流行していましたが、その内容は大人向けのものでそこに子供が混ざって歌って踊るのはあまり良くないという意見も多くありました。

そこで当時の北海道教育委員会などが、「子供が健全に盆踊りを楽しめるように」ということで企画をして生まれたものです。作詞を担当した坪松一郎さんは当時江別の学校の先生でした。その関係もあり江別市野幌町にある「かわなか公園」にはこの歌の歌碑が建てられています。

公園内に建てられた歌碑
歌碑の裏側

今風のアレンジが加わった演奏も

今ではすっかり道民なら知ってる存在となった『子供盆おどり唄』は、新しいアレンジで披露される機会もあります。こちらはNHK朝のテレビ小説『あまちゃん』の音楽を手掛けた大友良英さん率いる、さっぽろ八月祭スペシャルビッグバンドによる演奏。2016年に札幌で行われた「八月祭」の中で披露されたもので、かなり大胆なアレンジです。

そしてこちらは私たちDomingoの企画で制作した「初音ミク歌唱Ver.」のオリジナルアレンジ。コロナ禍で盆踊りが中止になる中「どこでも踊れる盆踊り」として2021年と2022年に実施した『北海道どこでも盆踊り』のために制作したものです。振り付けを踊るのは雪ミクとラビット・ユキネです。

終わりに

時代を超えて今も愛され続ける『子供盆おどり唄』。もはや北海道のソウルソングと言っても過言ではありません。次の世代、そしてまたその次の世代にも北海道の誇る文化として残していきたいですね。

※サムネイルの画像はイメージです。

ライタープロフィール

北海道観光カメライター ぶちねこ

北海道の観光スポットや観光施設につながりをたくさん持ってる「ぶちねこ」です。北海道に住んでいると当たり前に思っているものでも、素晴らしい資源がたくさんあります。そんな素敵な北海道の魅力を発信していきます。

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