病気が原因で体に麻痺が残りながらも、前向きに生きたいと切り絵に挑戦する女性が、8月2日から30日まで静岡県富士市で作品展を開いています。
<遠藤祐一さん>
「これが彼女が一番初めに切り絵をやった作品で、それがあれになりますね。彼女がイメージすると、お〜い、こんにちはって言っているそうです」
カラフルな色紙とクレヨンで描かれた女の子。富士市の吉原商店街のアトリエで切り絵の作品展を開いている遠藤宏美さんと夫の祐一さんです。
<遠藤宏美さん>
「何にも動かないよ。動かないよ。この子動かないの。だけど私なの」
<遠藤祐一さん>
「泣かせるな」
<遠藤祐一さん>
「歩く姿も見せてあげなさい。こういうように自分で歩けるんですよ。ここまで来たんですよ」
2021年3月、宏美さんは脳出血を患い、いまも後遺症が残ります。体の右側はほとんど動きませんが、それでも前向きに楽しく過ごしていきたい。そこで宏美さんが始めたのが、切り絵でした。
<遠藤宏美さん>
「風鈴が鳴っているとこ。ここにあってね、風鈴がリンリンリンリンって鳴っているところ」
<遠藤祐一さん>
「風鈴かそれ、風鈴ね。風の鈴ね」
最後の仕上げは祐一さん、二人で作品を完成させます。
<遠藤宏美さん>
「私はね、ご飯の支度とかそういうことは何も気にしなくていい。楽しいことだけをやる」
<遠藤祐一さん>
「それでいいよ」
<遠藤宏美さん>
「だからね、私がいなくなっても、この人がいなくなっても、私たちは二人で一人。ねっ」
<遠藤祐一さん>
「いらっしゃいませ」
二人三脚で準備してきた作品展の初日です。
<遠藤さんの知人>
「色んな感情が深まるっていうことは、この夫婦に限って(病気も)マイナスじゃないなって」
「この夫婦して、この夫婦愛っていう感じじゃない」
<遠藤祐一さん>
「何かがマイナスになると、何かがプラスになっていくんだよ。プラスマイナスなんだよ」
<遠藤宏美さん>
「この病気の人でも、そんなに一生懸命やらなくていいよって。自分らしさをみんなに見せてあげればいいんじゃないって」
常に前向きに生きていく。夫婦二人で築き上げてきた素敵な作品展です。