「祭日」と「祝日」の違いって?【正しい日本語解説Vol.11】

社会人になると、新しい言葉を使う機会が増えますよね。使い慣れていない言葉を無理に使い、大事な場面で恥をかいてしまった……。なんていう人も少なくないのでは? そこでTABIZINEでは、知っているようで意外と知らないビジネスシーンの頻出ワードを徹底解説! 今回は、なんとなく似たイメージのある「祭日」と「祝日」について、日本語に関する著書も多数手がけている、国語講師の吉田裕子さんに解説してもらいます。

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「祭日」の意味

「祭日」は「さいじつ」と読み、神社で祭祀が行われる日のこと。賀茂祭、祇園祭、天神祭などがあります。

また、祭日は皇室の祭典が催される日のことでもあります。明治時代から戦前にかけては元始祭、神武天皇祭、新嘗祭など皇室の祭典が催される祭日と、紀元節、明治節などの祝日の両方があり、どちらも休日でした。

昭和23年(1948年)に「国民の祝日に関する法律」が制定され、祭日は廃止(※)。祝日だけが残り、「祝日」「国民の祝日」という呼び方に統一されました。

※ただし、春季皇霊祭→春分の日、秋季皇霊祭→秋分の日など、明治時代に祭日だった日が名前を変え、祝日として残っている例もあります。

現在でも海の日やスポーツの日などの祝日を「祭日」と呼んでいるのを聞いたことがあるかもしれませんが、あくまで俗称です。辞書にも、祝日の俗称・通称という解説が出ています。

【例】

今度の日曜日は、氏神様の祭日だ。

「祝日」の意味

「祝日」は「しゅくじつ」と読み、祝いの日という意味。特に、国で定めた祝いの日という意味があります。内閣府のウェブサイトによれば、「国民の祝日に関する法律」により「美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために定められた『国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日』」となっています。

国民の祝日は休日となっていて、多くの会社や学校が休みになります。

2022年時点での国民の祝日は以下の通りで、1年間に16日あります。

元日

成人の日

建国記念の日

天皇誕生日

春分の日

昭和の日

憲法記念日

みどりの日

こどもの日

海の日

山の日

敬老の日

秋分の日

スポーツの日

文化の日

勤労感謝の日

【例】

今日が祝日ということをすっかり忘れていた。

「祭日」と「祝日」の簡単な覚え方

どちらも休みの日という意味で使われがちですが、現在の日本で確実に休日なのは祝日です。神社では祭日となっている日のうち、今の祝日=休日になっているのは一部です。

【クイズ】より適切なのはどっち?

【答え】

1→祝日

2→祭日

1の正解は祝日。週末が3連休になるということは、その日が休日であることを示唆しているので、「祝日」が適切です。

2の正解は祭日。出雲大社(神社)が祭礼の予定をまとめている表なので、「祭日」が適切です。

監修:吉田裕子先生

国語講師。都内大学受験塾・カルチャースクールで講師を務める他、書籍執筆、講演、企業研修、三鷹古典サロン裕泉堂の運営などの活動に取り組んでいる。NHK Eテレ『知恵泉』、NHK‐FM『トーキングウィズ松尾堂』など、テレビ・ラジオにも出演。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)や、『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)など多数。

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