「被爆体験者」訴訟 専門家会議報告書、原告側が証拠提出 長崎地裁、和解至らず

 「被爆体験者」が県と長崎市に被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟の弁論準備手続きが10日、長崎地裁(天川博義裁判長)であり、原告側は、被告である県の専門家会議が体験者を被爆者認定する妥当性を認めた報告書を証拠提出した。
 被告の県市は7月上旬、同報告書に基づき体験者の被爆者認定を国に要請。これを受け原告側は同地裁に和解を申し入れていたが、同地裁は次回期日で被告の意見を聞くとして結論には至らなかった。
 原告側は同日、原爆の「黒い雨」などに遭った体験者5人を証人申請。高齢体験者の体調面を考慮し、申請を早めた。原告側弁護士は「和解の動きと並行して手続きを進めた。原告が自分の言葉で言いたいことを言えるうちに早めに実施してほしい」とする。
 原告、県市とも体験者の被爆者認定を国に求める姿勢で一致しているが、同訴訟では、県市が国の委託で手帳交付事務を担っているため、争う関係となっている。


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