熱中症予防「こまめな」水分補給ってどれだけの量? エアコン「適切な」設定は? 福井県内の医師らに聞いた

利尿作用のあるお茶やコーヒーは控え、水やスポーツドリンクで水分・塩分補給を行う
熱中症予防のポイント

 まだまだ暑い日が続く福井県内。熱中症予防には「こまめに水分補給する」「適切にエアコンを使う」ことが大切というが、実際どれだけの量の水分をどのくらいの頻度で取ればいいのだろう。適切にエアコンを、というのも具体的な温度設定などがあるのだろうか。県内医師や空調機器販売スタッフに聞いてみた。

 県立病院救命救急センター主任医長の前田重信さん(52)によると、熱中症は▽体温の上昇▽発汗による体内の水分・塩分の蒸発-などにより引き起こされる症状全てを表す。大量の発汗や立ちくらみ、頭痛といった症状以外に、脱水などで心拍数が上昇し心不全が起きたり、呼吸数が増えることで全身がしびれたりする場合もある。

活動前からコップ1杯、室内でも

 水分補給が特に必要なのは、高温多湿の屋内外で活動する日。活動前からコップ1杯分の水分を15~20分おきに取る。買い物のための外出など短時間の活動なら水で十分だが、ウオーキングのような発汗を伴う際は、塩分を補えるスポーツドリンクが望ましい。

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 さらに、部活など激しい運動でひどく汗をかく場合は「スポーツドリンクに塩を足したものを用意し(1リットル当たり小さじ1杯が目安)、水分・塩分の補給を」と前田さん。日々の食事では、みそ汁やコーンスープは水分と塩分を無理なく補えると推奨している。

 涼しい室内でも水分補給に心掛けたい。喉が渇いたタイミングで、コップ1杯の水を意識的に飲むことが大切という。

エアコンは自動運転がお勧め

 適切なエアコン使用に関しては、空調機器販売の「ダイキンHVACソリューション北陸福井支店」の片山僚介さん(28)が説明してくれた。

 快適に過ごすには室温27~28度、湿度50~60%が望ましい。エアコンの設定は「室内の温度むらがなく、涼しさを維持できる自動運転がお勧め」と片山さん。就寝時は、朝まで自動運転にしておくか、寝る前に部屋を冷やしておき、就寝後3時間で切れるようタイマー設定する。くれぐれも寝冷えしないように。

本人も気付かない間に発症する熱中症 

 熱中症を防ぐには「まずは暑さを避けることが不可欠」と前田さん。日中、屋外での活動はなるべく控え、必要な場合は早朝や夕方以降に動くようにする。

 炎天下でのやむを得ない活動時は水分・塩分補給に加え、意識的に体を冷やすことが大事。火照った体は水風呂や冷水シャワーを浴びたり、脇や鼠径部(太ももの付け根の前側)など血管が集中する箇所を氷水で冷やしたりして、熱を逃がしてやる。

 子どもから高齢者まで誰もがなり得る熱中症。前田さんは「本人ですら気付かない間に発症し、進行している場合もある。体調の変化を感じ取って、水分・塩分の補給と十分な休息を」と呼びかけている。

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