日焼け止め成分がサンゴの白化速度早める…奄美の大島高生3人が研究 「観光客増え、将来起こりうる問題」と指摘 豊かな海守るには

サンゴの白化現象の研究に取り組んだ大島高校の生徒=奄美市名瀬安勝町

 鹿児島県奄美市の大島高校3年生3人は、探究学習「日焼け止め成分によるサンゴの白化現象の研究」の成果を、瀬戸内町であった奄美群島サンゴ礁シンポジウムで発表した。世界自然遺産登録で観光客が増えている奄美大島でも将来起こり得る問題と指摘。環境保護の意識向上を訴えた。

 重信瑚杜子(ことこ)さん、肥後咲朋里(さほり)さん、安田菜音(なお)さんが1年時から取り組んできた。環境問題に関心があったという。

 一部成分が白化を引き起こす可能性を示した海外研究、禁止成分を含む商品販売を禁じる法律や条例がある国・地域を紹介。同校生約200人の認知度を調べたところ、日焼け止め成分が白化を促すと知っていたのは2割以下と低かった。

 実験は、日焼け止め成分が入った水槽と、入っていない水槽でサンゴの変化を比較。同成分入りの水槽は白化速度が早く、濃度を高くすると白化も進んだ。

 ドラッグストアやコンビニ、スーパーの島内約10店舗で、禁止成分を含まない商品の販売状況を調査した。利用者が一番多いコンビニでは売っていなかった。ドラッグストアで販売されていたものの種類が少なく、価格帯も高めだった。

 7月31日のシンポでは、研究内容を評価する専門家が相次いだ。3人はサンゴに優しい日焼け止めの使用を呼びかけるポスターを作成。奄美市役所に掲示するなど啓発にも力を入れる。「奄美の若者の意識も高くない。研究に取り組むことで改善につながれば」と期待を込めた。

白化が進んでいるサンゴ=奄美市名瀬の大浜海浜公園沖
白化が進んでいるサンゴ=奄美市名瀬の大浜海浜公園沖

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