「大村藩勤王三十七士」の業績伝える 市歴史資料館で企画展 9月4日まで

「大村藩勤王三十七士」に関する資料が並ぶ企画展=大村市歴史資料館

 幕末に大村藩を勤王倒幕に導き、明治以降の日本の近代化に貢献した「大村藩勤王三十七士」の業績などを紹介する企画展が、長崎県大村市東本町の市歴史資料館で開かれている。9月4日まで。入場無料。
 英軍艦フェートン号が長崎港に侵入した1808年の事件を受け、大村藩では海防意識の高まりや藩政の改革が進んでいた。その中で、さまざまな思想や情報に触れた若手の藩士が「大村藩勤王三十七士同盟」を結成。その後の明治維新に貢献したとして、大村護国神社の境内には37基の顕彰碑が残されている。
 企画展では、中心的な役割を担った渡辺清・昇兄弟をはじめ、思想面で活躍した松林飯山、維新後に東京府知事や衆議院議長などを歴任した楠本正隆、東京師範学校長などを務めた長岡治三郎ら6人に関係する資料を紹介。初公開を含む65点を展示している。
 槍術(そうじゅつ)に優れ、業績に関して不明な点が多いという澤井官兵衛に関する資料は初公開。使用した槍(やり)や初期の米スミス&ウェッソン社の拳銃などが並ぶ。渡辺清の形見として伝わるひげも初めて展示しており「劣化を考えると次はいつ公開できるか分からない」(同館)という。

渡辺清の形見として伝わるひげ

 同館では10月に近代の大村市をテーマにした特別展を予定しており、担当者は「今回の企画展はその前史に当たる。近代日本に貢献した三十七士を身近に感じてほしい」と来場を呼びかけている。

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