静岡県内の企業でも脱炭素を推進する動きが少しずつ出始めています。この動きを後押しする存在のひとつが地元の金融機関です。
山のように積まれた使用済のアルミ缶。これは全て、再利用されます。
静岡県長泉町にある山一金属では、年間でおよそ35億缶をリサイクルしていますが、この作業の中でCO2削減を目指そうと世界初の取り組みが始まっています。
<山本太朗記者>
「こちらは何ですか?」
<山一金属 大賀丈久専務>
「メイン商品のタブレットというモノです。使用済みのアルミ缶をペレット状にして、そのペレットを圧縮して、固めたモノ」
このアルミ缶を固めてできたタブレットとは、どんなものなのでしょうか。
アルミ缶のリサイクルの主流は、使用済みのアルミ缶を再び同じものへと生まれ変わらせるというやり方です。そのサイクルの中で、アルミ缶の原料となるのがこのタブレットです。山一金属が作ったタブレットにはある特徴があります。
<山一金属 大賀丈久専務>
「従来より多く生産していたアルミのペレットを溶かした再生塊という商品」
<山本記者>
「タブレットとの違いは?」
<山一金属 大賀丈久専務>
「再生塊はペレットを溶かした商品ですが、タブレットは溶かす工程がないので、その分、エネルギーの使用量が削減ができて、結果的にCO2の削減に繋がっている」
原料をタブレットに替えることで、製品1あたりのCO2の排出量が97%削減、電力使用量にいたってはほぼ100%減らせます。
ただ、この取り組みには設備投資を含め、多くのコストが掛かります。そこで、手を差し伸べたのが地元の金融機関でした。
静岡銀行では、SDGsに取り組む企業を金銭面から支援していて、山一金属はその第一号として3億円の融資を受けました。
<静岡銀行清水町支店 木村晃支店長>
「山一金属の場合は、タブレットを作ると、二酸化炭素を排出量をかなり削減できるので、タブレットの製造割合を80%以上を目標を(融資の条件として)設定した」
ただ、静岡県内を見渡すと、脱炭素化に向けた取り組みを進めている企業は、まだ一部にすぎないのが現状です。
静岡銀行の法人ファイナンスグループです。こちらの部署では、「脱炭素化へのヒアリングシート」を作成し、2021年から製造業を中心に取引先の状況を集約していますが、課題が見えてきました。
<静岡銀行法人ファイナンスグループ 秋山侑さん>
「足元だと、エネルギー高や資源高への対策が目下の課題で(脱炭素を)考えられていないのが現状」
<静岡銀行法人ファイナンスグループ 鈴木達也グループ長>
「中長期的に脱炭素が大事な課題なので、グループを挙げてサポートに取り組みたい」
静岡県内の企業の脱炭素への取り組みは、まだ始まったばかりです。SDGsを自分事として考え、進めていける環境づくりに金融機関のサポートは欠かせません。