個人資産は1000億ドル超え!投資の神様、ウォーレン・バフェットの投資先3銘柄

「投資の神様」と呼ばれる方をご存知ですか? アメリカの著名投資家であるウォーレン・バフェット氏です。

2020年8月に日本の5大商社である伊藤忠商事(8001)、三菱商事(8058)、三井物産(8031)、住友商事(8053)、丸紅(8002)にバフェット氏が投資した、というニュースで同氏のことを知った方もいらっしゃるかもしれません。


「投資の神様」ウォーレン・バフェットとは?

ウォーレン・バフェット氏は、1930年に米国のネブラスカ州オマハで生まれたことから「オマハの賢人」という異名も持っています。現在もオマハに住まわれているとのことです。

繊維会社だったバークシャー・ハサウェイ社を1965年に買収、保険事業を中心とした投資会社として生まれ変わらせ、世界トップクラスの巨大企業に成長させました。現在はバークシャーの会長兼CEOを務めています。

バフェット氏自身も世界屈指の資産家であり、世界の富豪番付上位の常連で首位に立ったこともあり、90歳になって個人資産が1,000億ドルを突破。2022年には1,167億ドルの個人資産を保有していると伝えられました。

仲の良いマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が夫婦で運営するビル&メリンダ・ゲイツ財団へ多額の寄付をするなど、豪快なお金の遣い方のイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。バフェット氏とビル・ゲイツ氏は2人とも巨額の資産を保有していますが、実は割引クーポンは必ず使うなど金銭感覚は庶民派な面があるよう。自分で価値があると思うものに大きくお金を使うというのが本当のお金持ちなのだと感じます。

バフェットの投資手法「バリュー投資」

投資の神様と呼ばれるバフェット氏は、割安株に投資する「バリュー投資」をしていることで有名です。バリュー投資とは、実際の価値よりも割安に放置されている株を購入し、本来の価値まで株価が上がったら売却益が狙える、という投資手法です。投資先を選ぶ基準は安定的なキャッシュフローなど極めてシンプルです。

バフェット氏が、株価が割高か割安かを測るために使っているとされるのが「バフェット指数」です。

バフェット指数 = 株式市場の時価総額 ÷ 名目GDP × 100

名目GDPという物価の変動などを反映した実際の経済に対して株式市場の時価総額を比較して、割高か割安か判断するわけです。主に50~150%の間で推移しており、低いほど割安となります。

実際のパフォーマンスはどうなのかも気になるところでしょうか。冒頭で紹介した日本の5大商社は、2020年8月のバークシャーが購入時点から、現在ではいずれも大きく株価を上げています。

足元では赤字のバークシャー・ハサウェイ

2022年の上半期、米国の株式市場は大きく下落したので、米国株投資家には厳しかった相場環境だといえるでしょう。実はバフェット氏でも6兆円近い赤字を出しているようです。

バークシャー・ハサウェイが8月6日(土)に発表した2022年4-6月(第2四半期)決算は、最終損益が437億5,500万ドル(約5兆9,000億円)の赤字となりました。四半期の赤字額としては新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した2020年1-3月期以来、過去2番目の大きさです。

投資ファンドに近い性質を持つ株式会社のため、バークシャーの最終損益は相場に左右されやすく、米国会計基準では保有する上場株の評価損益を最終利益に反映させるのですが、投資目的で保有する上場株に評価損が発生したことが赤字の要因のようです。

安定的に稼ぐ力を反映する営業利益に注目するようバフェットは投資家に呼びかけており、保険と鉄道事業が寄与して第2四半期の営業利益は前年同期比39%増の92億8,300万ドルとなっています。

バークシャーは2022年に入って攻めの投資スタイルに変えており、2022年1-3月期に511億ドルの株式を新規購入しています。同4-6月期も株式を買い越ししており、「長期的には今はチャンス」と投資の神様・のバフェット氏は考えていると言えそうです。

相場急落はバリュー株投資のチャンスとしているバークシャーは、短期的に赤字でも長期的にはしっかり利益を出してくる、と期待したいところです。

バフェットが投資している銘柄3選

私たち個人投資家も、バークシャーがどのような銘柄を保有しているのかを知ることで、投資戦略の参考になるのではないでしょうか? バークシャーが投資している割合の高い銘柄や注目していると考えられる3銘柄と、プラス1銘柄を紹介します。

シェブロン(CVX)

カリフォルニア州サンラモンに本社を置く、1906年に設立された企業です。米国第2位の石油会社であり、世界中で原油や天然ガスの探鉱、生産、精製事業を手掛けています。

エネルギー価格の恩恵を享受する巨大企業です。配当利回りが高いのも魅力で、ブルームバーグによるとシェブロンの利回りは3.7%。バークシャーは調整色が強まった5月以降にもシェブロン株の買い増しを行なっている模様です。

アップル(AAPL)

保有比率が2022年3月末時点でトップの銘柄です。株価が上がっていることのもありますが、その割合はダントツです。

アップルはスマートフォンのiPhone、タブレット型情報端末のiPad、パーソナルコンピュータのMac、携帯音楽プレーヤーのiPod、ウェアラブルコンピュータのApple Watchなどの開発と販売をする会社で、群を抜くブランド力が特徴です。

それを支える技術力など定性面の強みがあり、iTunesとソフトウェアの売上高や、Apple CareやApple Payのライセンス料金も伸びています。またApple Storeの存在も競争力の強さに繋がっています。

自社株買いにも積極的で、キャッシュフローを生み出す力の強い企業といえます。

オキシデンタル・ペトロリウム(OXY)

原油および天然ガスの探鉱、開発、生産、販売などを行うエネルギー資源会社、石油・ガス大手で、シェール業界の雄と言われています。基礎化学品、ビニール、パフォーマンスケミカルの製造、販売も行なっています。

2019年夏にシェブロンに競り勝って同業のアナダル・コペトロリアムを買収し、この大型買収で事業規模を拡大。債務も拡大し、その買収支援でバークシャーが優先株を取得しています。

バークシャーの買い増しで話題になっているのはこのオキシデンタルでしょう。現在の保有比率は発行済み株式数の19.4%となっていると伝えられており、20%を超えれば、持ち分法適用会社として利益の一部を連結業績に取り込める可能性があります。

またバークシャーはオキシデンタル株を8,390万株購入するオプションを保有しており、これを行使すれば保有比率が25%を超えるため、将来オキシデンタルを買収するとの見方もあります。

オキシデンタルの2021年度の業績は前期から大幅に改善していて、原油価格の上昇の恩恵を継続して受ける見通しです。

そして最後にもう1銘柄、バフェット氏にあやかるなら、バークシャー・ハサウェイに投資するのも一つの選択肢でしょう。

バークシャー・ハサウェイ(BRK.B )

投資の神様と呼ばれ、世界で最も有名な投資家であるウォーレン・バフェット氏がCEOを務めており、中核は保険事業で生命保険、損害保険、健康保険、再保険などを手掛けているほか、多くの子会社や関連会社を抱え、投資会社として上場企業の株式を保有しています。

バークシャーは、取引単価が高額な機関投資家向けのA株(BRK.A)と、取引単価が少額のB株(BRK.B)を発行しており、私たち個人投資家が取引するのはこのB株となります。バークシャーはM&Aや、他社への投資を積極的に行なってきていましたが、2018年に自社株買い戻しの上限を撤廃し、足元では自社株買いも積極的に行っています。

8月8日週「相場の値動き」おさらい

祝日明け8月12日(金)の日経平均株価は、前営業日比727円65銭高の2万8,546円98銭と、3営業日ぶりに大幅反発。8月5日(金)の日経平均株価は2万8,175円87銭でしたので、週間では371円11銭の上昇でした。

7月のFOMCでは市場予想通り2会合連続となる0.75%の利上げとなりましたが、パウエルFRB議長発言で9月以降の利上げペースが緩やかになるのではないかとの期待感がある中、パウエルFRB議長が参考にするという雇用統計もCPIに注目が集まっています。

先週末に発表された7月の米雇用統計は、失業率が予想3.6%→結果3.5%、非農業部門雇用者数が予想24.9万人増→結果52.8万人増、平均賃金の前月比は予想0.3%増→結果0.5%増で前年比は予想4.9%増→結果5.2%増と全てが市場予想を上回る強い結果となり、GDPが2期連続マイナスだったことなどから懸念されていた景気後退に対してはポジティブな結果となったものの、FRBの積極的な金融引き締めにつながるとの観測(結果を受けて9月FOMCで0.75%の追加利上げとなる可能性)は高まったと言えます。

ただ8月10日(水)発表のCPI(消費者物価指数)は前年同月比8.5%と、前月の9.1%から鈍化。同11日(木)発表の7月のPPI(米卸売物価指数)が前月比0.5%下落と、0.2%上昇の予想に反して下落し、足元ではインフレ高進への懸念が後退しています。

米カンザスシティー地区連銀が主催するジャクソンホール年次シンポジウムまでは次の大きなイベントはなさそうです。

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