長崎県の最低賃金 853円答申 32円、上げ幅最大 長崎地方審

最低賃金の推移

 長崎地方最低賃金審議会(会長・松本睦樹長崎大名誉教授)は12日、長崎県の2022年度最低賃金(最賃)について、現行の時給821円から853円に引き上げるよう長崎労働局長に答申した。32円の引き上げ額は、中央審議会が示した目安より2円高く、時給のみで表示するようになった2002年度以降で最大幅となった。
 長崎県の現行最賃は沖縄、高知両県(820円)に次ぐ全国2番目の低水準。同局によると、同額の熊本、佐賀、鹿児島、宮崎各県などの地方審議会も既に32円増を答申しており、足並みをそろえた形となった。
 会合終了後、労働者側の連合長崎関係者は「物価高が考慮された。十分とは考えていないが、それなりの金額が出た」と評価。使用者側の県経営者協会関係者は「(地場中小企業の)支払能力を考慮すると実力以上に高い。賃金の引き上げに伴う部分を補塡(ほてん)する助成金を政府に積極的に検討してほしい」と求めた。
 労使双方の意見として、業務改善助成金の充実に加え、最賃引き上げに伴う事業者のコスト増に見合う直接的な支援策を国に要望することを決めた。
 同局は29日まで異議申し立てを受け付け、早ければ10月8日に改正する予定。

© 株式会社長崎新聞社