被爆2世ゲノム解析 被爆者存命中に成果を 外部諮問委員会

被爆2世のゲノム解析についてオンラインで会見した丹羽理事長(左)と片峰委員長

 被爆者の健康状態を日米共同で調べる放射線影響研究所(放影研、長崎市・広島市)の外部諮問委員会は12日、放影研が実施を目指す被爆2世ゲノム(全遺伝情報)解析について、遺伝的影響を懸念する被爆者や2世との信頼を築いた上で、高齢の被爆者が存命のうちに成果を出すよう助言した。
 諮問委は被爆者と2世、有識者の計14人で構成。片峰茂委員長(長崎市立病院機構理事長)と、放影研の丹羽太貫(おおつら)理事長がオンラインで12日会見した。
 放影研は1980年代から広島と長崎で被爆した両親と子計千組の血液を保存しており、これらが解析対象となる。「社会的インパクトが極めて大きい研究」のため、丹羽理事長は「研究は最終段階にあるが一人一人から丁寧に内諾を得ることが必要」と述べ、解析を始める時期は示さなかった。
 諮問委は昨年8月から、▽被爆者と2世にとっての研究意義▽ゲノムデータと試料の管理▽データの公開と利用-などの課題について議論。7項目の「助言」をまとめ、ゲノムデータを扱う指針を放影研が独自に作成することや、対象者に解析結果を伝える際は慎重に対応することなどを盛り込んだ。片峰委員長は「委員の間にさまざまな不安もあったが、放影研との間で理解が進み、有益な議論ができた」と述べた。

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