メクル第651号 島の小学生 まちづくり学ぶ 長崎スタジアムシティ建設現場など訪問

 長崎県内の離島(りとう)に住む小学生が8月1日から2泊(はく)3日の日程(にってい)で、長崎市や西彼杵(にしそのぎ)郡時津(とぎつ)町の企業(きぎょう)や公共施設(しせつ)を訪(おとず)れ、地域活性化(ちいきかっせいか)の取り組みや企業の活動を学び、島の未来について考えました。

長崎スタジアムシティの模型を見ながら熱心に説明を聞く参加者=長崎市幸町

 ふるさとを担(にな)う意欲(いよく)を高め、離島地域でのリーダーとなる人材を育てようと、県教委生涯(しょうがい)学習課が「しまの『ミライ』応援(おうえん)事業」として実施(じっし)。3回目となる今年は対馬(つしま)市、壱岐(いき)市、五島(ごとう)市、北松浦(きたまつうら)郡小値賀(おぢか)町、南松浦郡新上五島(しんかみごとう)町の小学5、6年生31人が参加しました。
 初日は対馬、壱岐、小値賀の各市町から参加した14人が、2024年に長崎市幸(さいわい)町に開業する予定の「長崎スタジアムシティ」の建設現場(げんば)を訪問(ほうもん)。プロジェクトを手がける通販(つうはん)大手ジャパネットホールディングス(佐世保市)のグループ会社、リージョナルクリエーション長崎(長崎市)の上村創(うえむらそう)さんと松浦愛里紗(まつうらありさ)さんから「民間企業が主導(しゅどう)する地域創生(そうせい)」について話を聞きました。
 長崎スタジアムシティは、サッカー「V・ファーレン長崎」やバスケットボール「長崎ヴェルカ」の競技場(きょうぎじょう)だけでなく、ホテルや商業施設、企業が入るオフィスを作り、県内外の人々が一年中集い、楽しめる場所となるのを目指しているそうです。松浦さんは、働く場を生み出し経(けい)済(ざい)の発展(はってん)を後押(あとお)しすることで、県外への人口流出が全国でもワースト上位の長崎県を盛(も)り上(あ)げる役目を果たしたいと話しました。
 日本で一番ピッチから近い距離(きょり)でサッカー観戦ができるというスタジアムには、食事を楽しみながら観戦ができるレストランも。日本初となる「スタジアムビューホテル」は客室からサッカー観戦ができるだけでなく、稲佐山(いなさやま)など長崎ならではの景色も同時に眺(なが)めることができます。
 参加者は「どの施設を最初に造(つく)るのか」「ジャパネットらしいおもてなしとはどういうものか」「どんなお店が入るのか」と次々と質問(しつもん)。上村さんと松浦さんは「訪れた人に『来てよかった』『また来たい』と思ってもらえるようなおもてなしや施設造りを目指している」と答えました。
 壱岐市立芦辺(あしべ)小6年の篠﨑涼(しのざきりょう)さん(11)は「いろいろなことに取り組むことで、長崎の未来がいいものになっていくと思う」と期待を込(こ)めて話しました。
 2日目は長崎市のまち歩き観光事業「長崎さるく」を体験し、「三菱重工業(みつびしじゅうこうぎょう)」で造船(ぞうせん)業について学習。時津町の「日本紙器(にほんしき)」では、段(だん)ボールで作った遊具や災害対策(さいがいたいさく)グッズなどを見学しました。3日目は長崎市の「市恐竜(きょうりゅう)博物館」と「県立長崎図書館郷土資料(きょうどしりょう)センター」を訪ね、市の歴史や文化の継承(けいしょう)について理解(りかい)を深めました。「長崎のまちはとても元気で、目覚ましく発展している」と参加者の多くが口にしました。

自分たちが住む島の魅力や課題を書き出して、解決策を考える参加者=日吉自然の家(県教委生涯学習課提供)

 宿泊先の日吉自然の家(長崎市飯香浦(いかのうら)町)では夕食の後、参加者は意見交(こう)換(かん)。自分の住む島の良いところや課題を共有した上で、島を盛り上げるためには何ができるかを考えました。「島の行事の手伝いをしたい」「まちにごみが落ちていたら拾うなどして、自分のまちを大切にしたい」「学んだことを(参加していない)友達と共有して、みんなで島の活性化について考えたい」などアイデアが次々に出ていました。
 県教委生涯学習課の宮地和則(みやじかずのり)さんは「離島の子どもたちには、自分の島を愛してほしい。そして、どうしたら、ふるさとが盛り上がるかを考え、できることから取り組んでほしい」と、離島の未来のリーダーの活躍(かつやく)に期待を寄(よ)せました。

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