「悪性ウイルスに心は錯綜していた」金正恩氏、非常防疫総括会議で演説(全文)

北朝鮮の金正恩総書記が10日、全国非常防疫総括会議で演説「防疫戦争での勝利を強固にし、国家と人民の安全を一層確実に保証しよう」を行った。朝鮮中央通信が伝えた。

金正恩氏は演説で、「わが領土を最短期間内に悪性ウイルスのない清潔地域にするというわれわれの非常防疫闘争の目標が達成されました」としながらも、「悪性ウイルスが入り込んだという現実を前にして、率直に言って心は錯綜していました」「国の運命がこのまま尽きるのかという最悪の場合をも見通して最大限に自覚し、決死の覚悟で奮発しなければならない極めて危急の国家最大の危機事態でした」と、新型コロナに対して危機感を持っていたことを明らかにした。

つづけて、「未だにワクチン接種を一回も実施していないわが国で、猛威をふるっていた伝染病拡散事態をこのように短期間に克服し、防疫安全を回復して全国をまたきれいなウイルス清潔地域にしたのは、世界の保健医療史に特記すべき驚異的な奇跡です」と強調した。

一方、「最大非常防疫戦の勝利に陶酔して気の弛みや放念、警戒心の欠如が蘇る余地があるのですから、各党組織と勤労者団体組織、行政・経済部門、法律執行機関はいずれも警戒心を高めて、大衆的な防疫意識と危機意識を堅持することに力を集中しなければなりません」と引き続き警戒するよう呼びかけた。

そのうえで、「史上最悪の危機を果敢に克服したわが人民の不屈の精神力をさらに発揮させ、昇華させるならば、われわれが打ち出した今年の闘争目標はもちろん、第8回党大会が示した5カ年計画の目標も成功裏に達成されるでしょう」と述べた。

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