オミクロン株「BA2.75」、「BA.5」の免疫効きにくい? 東大医科研ら

 新型コロナウイルスのオミクロン株の新たな変異型として知られ、日本でも広がりつつある「BA.2.75」は、現在国内での感染の主流となっている「BA.5」に感染してできた免疫が効きにくい可能性が示された。ただ、これまでのワクチン効果の低下は示されておらず、改めてワクチン接種の重要性が示唆されている。

「BA.5」にかかっても安心できない?

 査読前論文として研究成果を発表したのは、東京大学医科学研究所の佐藤佳教授らで構成される研究グループ「G2P-Japan」。これまでも新型コロナウイルスの変異株について、迅速に基礎研究を行い、その結果を公表してきた。

 今回研究グループは、日本でも広がり始めている「BA2.75」に対し、これまでの株への感染、あるいはワクチン接種で体内に組成された抗体がどれだけ効果を発揮するかを調べた。

 具体的には動物実験を行い、「BA.5」に感染したハムスターの血液を使って、「BA2.75」に対するその血中の中和抗体の働きを調べたところ、その効果が「BA.2.75」に対しては「BA.5」と比べ12分の1に低下したことを確認した。次にウイルスをハムスターに感染させて病原性を調べたところ、「BA.2.75」と「BA.5」は同じ程度の症状を示した。

 研究グループはワクチン接種で体内に生成された中和抗体が「BA2.75」にどれほど効果的かも調べた。「BA.2.75」の特徴を再現したウイルスを作成し、実際に3回接種した人の血液を検体として、その血中の中和抗体の働きを調べたところ、「BA.2」に対してと同じ程度の働きだったという。

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