熱中症予防、人もペットも 互いの健康と幸せ守る「適正飼養」など伝える チーム上尾・岡井さなえさん

「適正飼養」のボランティアに取り組む岡井さなえさん。愛犬のバーニーズマウンテンドッグ「イーリス」(5歳雌)とともに=桶川市坂田の「穂高ドッグラン&カフェN36。」

 犬、猫などペットの適正飼養やペットの災害対策、地域猫など動物愛護に関する啓発活動を行うボランティアグループ「チーム上尾」。適正飼養とは、動物の健康と安全を守り、人に危害を加えたり、迷惑をかけたりしないように育てることだ。

 埼玉県上尾市春日の岡井さなえさん(54)は2015年、彩の国動物愛護推進員の有志4人で「チーム上尾」を立ち上げた。行政と連携してペット防災対策セミナーや飼い主のいない猫のパネル展、地域猫の基礎講座などさまざまな啓発活動を行っている。環境省などが取り組んでいる「熱中症予防声かけプロジェクト」に毎年参加。温度計付きメッセージカードをドッグランなどで配布する「人もペットも熱中症予防」の啓発活動が評価され、18年には企画アイデア部門で優秀賞、昨年は「熱中症ケア部門」で優秀賞を受賞した。

 小さい頃から動物好きだった岡井さんが、本格的に動物愛護活動に取り組むきっかけは、1996年から3年間暮らしたロンドンでの生活だった。当時既にイギリスは動物を保護する体制が整っていた。しかし帰国後、不適切な飼い方をされるペットを多く見かけた。玄関先やガレージのコンクリートの上に水もなくつながれっ放しの犬や避妊手術されずに放置される地域猫など。殺処分の多さにも心を痛めた。

 「何とかして改善できないだろうかと」ボランティア活動を始め、行きついたのが飼い主への啓発だった。「動物へのしつけとともに飼い主も知識を身につけること、人に迷惑をかけない努力をすることが必要。飼い主の知識や意識が向上すれば不幸な犬猫を減らすことができるのでは」と熱く語る。

 コロナ禍で新たにペットを飼う人も増えた。啓発活動はさらに必要となる。「細く長く活動を続けたい。動物の問題は人の問題。日々の暮らしの中で人同士のコミュニケーションを大切にしてほしい」と優しくほほ笑んだ。

© 株式会社埼玉新聞社