【夏の甲子園】流した涙を「常勝横浜」復活の礎に 課題明白「もっと打てないと」

【聖光学院―横浜】8回、2死二塁のピンチで杉山(中央)を囲む横浜内野陣=甲子園(立石 祐志写す)

◆横浜2-3聖光学院

 五回。狙い通りの併殺打の間に与えた1点が、結果的に響いた。横浜は2度追いつくも、防戦一方の流れを変えられず。村田浩明監督(36)は「点差以上に押されている感覚があった。あと1本が出なかった」と悔やんだ。

 聖光学院の佐山対策で、内角直球を打つ練習を徹底してきた。ただ、想像以上の制球力と焦りも加わり、「振るよりも当てにいく打撃になってしまった。勝負弱さが出た」と受け入れるしかなかった。

 村田監督が就任して3年目。守備重視を掲げるチーム方針は着実に浸透してきた。それは堅守しかり、バント処理やけん制しかり。甲子園で見せたハイレベルの守備力は、「渡辺、小倉コンビ」時代の野球をもほうふつとさせた。

 ただ、2年続けてベスト16に届かなかった。2試合で9安打。勝ち抜くための課題は明確だ。指揮官も「もっと打てないと勝てないと思い知らされた」と認める。

 杉山や緒方、萩ら2年生の主軸が多く残る。指揮官は彼らにかねてから、「全国制覇だ」と目標をあえて明言してきた。

 玉城から「絶対に戻ってこいよ」と言葉を掛けられた緒方は「打力のあるチームが勝っている。もっとつながりのある打線を築き上げていきたい」。流した涙が「常勝横浜」復活の礎となる。

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