「折れ剣メダル」第1弾完成、思いも継いで フェンシング・見延和靖選手企画、福井県越前市の小中団体戦で贈る

見延選手(左端)と佐藤選手(右端)から贈られたメダルを手にして喜ぶ子どもたち=13日、越前市アイシンスポーツアリーナ
フェンシングの折れ剣で作られたメダル

 フェンシングの剣を再利用する「折れ剣再生プロジェクト」が手掛けた表彰用メダルが完成し8月13日、福井県越前市アイシンスポーツアリーナで開かれた小中学生団体戦の入賞チーム全員に贈られた。子どもたちは、プロジェクトの発起人で大会を監修した見延和靖選手(旧武生商高出身、ネクサス)からメダルを受け取り、競技者への夢を膨らませた。

 プロジェクトは日本スポーツSDGs協会が主宰し、今年1月に始動した。練習や試合で折れた剣を選手から日本フェンシング協会が回収。武生特殊鋼材(越前市)が加熱、板状に延ばしメダルに加工した。第1弾として完成したメダルは直径4.5センチ、厚さ約1ミリ。折れた剣1本分でメダル1枚になるという。

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 この日の団体戦は通常の小中学生の公式大会にないルールで見延選手がオリジナルで考えた。種目はフルーレ。児童生徒26人が参加し、所属するチームや男女関係なく6チームに分かれ、見延選手と佐藤希望選手(旧武生商高出身、大垣共立銀行)がそれぞれ3チームの監督を務めた。子どもたちはチームメートのプレーに「頑張れ」「いいね」と声援や拍手を送り、メダルを懸けて熱戦を繰り広げた。

 表彰式では両選手が、1~3位のチーム全員にアクリルスタンドに収納されたメダルを贈呈。優勝チームのメンバーは「日本代表選手が試合で使った剣で作ったメダルをもらえてうれしい」と笑顔で話した。4~6位チームには、折れ剣で作られたタグプレートが参加賞として配られた。

 見延選手は「このメダルで満足するのではなく、ぜひ五輪でメダルを目指してほしい。メダルを通して日本代表選手の思いを引き継いでほしい」と話した。

 団体戦の前には両選手による未経験の小学生を対象にした体験教室「はじめてフェンシング」もあった。

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