<甲子園>大阪桐蔭に大敗した聖望学園、地元から感動の声「ありがとう」「飯能も昔は野球王国。復活期待」

甲子園の選手たちにエールを送る生徒たち=14日午後、飯能市中山の聖望学園

 第104回全国高校野球選手権大会第9日は14日、兵庫県西宮市の甲子園球場で2回戦計3試合が行われ、埼玉代表の聖望学園は選抜大会優勝の大阪桐蔭に0―19で大敗した。

 聖望学園は、先発のエース岡部が一回から大阪桐蔭の強力打線につかまると四回までに9失点。五回以降は、東山、北原で継投を図るものの実らず、七回を除く毎回得点を許し、計25安打で19失点を喫した。

 打線は、先発の左腕前田に5回1安打の9奪三振で封じられると、2番手以降にも1安打に抑えられ、一度も二塁を踏むことができなかった。

■生徒ら健闘たたえる

 13年ぶりに出場した夏の甲子園は初戦の1勝という結果に終わったものの、地元・飯能市の学校関係者や市民からは「感動した」「勇気をありがとう」と、選手たちの健闘をたたえる声が上がった。

 設立71年の歴史を持つミッションスクールの同校では、初戦に引き続き現地観戦のかなわなかった教職員や生徒らが、同校礼拝堂に設置した大型スクリーンで試合を観戦。同校女子バスケットボール部のメンバーなどが練習の合間に集い、級友にエールを送った。

 初戦は現地で応援したという3年の藤野咲和子さん(18)は結果を残念がりつつも「同じスポーツマンとしていい刺激をもらえた。感動した」。馬場直樹教頭(62)は「3年間よく頑張ってきた。生徒に勇気を与えてくれて、学校を甲子園に連れていってくれてありがとう」とねぎらった。

 スポーツクラスで主に野球部2年を担当する佐藤栄祐教諭(50)は「選手たちはみんないい顔をしていた。誰しもが憧れる舞台で野球をやれたことは幸せ。来学期のホームルームで『ここが終わりではなく、ここからがスタートだ』と伝えたい」と語った。

 同校付属中学で理科を教える永沢勇気教諭(44)は「相手が強かった。それでもちゃんと戦えていた」と笑顔で語った。

 聖望学園からほど近い西武線東飯能駅前では、市商工会議所や観光協会、商店街連盟が応援の旗を製作し、大通りを中心に飾って盛り上げた。聖望学園の健闘によって、市民からは市内の野球文化に再び火が付くことを期待する声も上がった。

 地元クラブチームでコーチをしているという佐野貴範さんは「甲子園に行っただけすごい。飯能も昔は野球王国だった。聖望の甲子園出場でまた盛り上がってくれれば」と期待を込めた。

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