コケ研究・標本棟 初公開 日南・服部植物研究所

研究・標本棟で訪れた市民(左)に「タイプ標本」の説明を行う研究員

 日南市飫肥の服部植物研究所は10日、同研究所本館裏手の研究・標本棟を初めて一般公開した。同棟が国有形文化財に登録される見通しとなったことから、コケの日である8月10日に広く同研究所について知ってもらうため実施した。
 同棟は1954(昭和29)年ごろに建築された木造2階建て。1階は採取されたコケを研究員が調べる研究室で、書籍や論文、学術雑誌も所蔵している。2階は標本室で、新種として発表するときに物理的証拠となった「タイプ標本」約4200点などが標本棚に納められている。
 タイプ標本には、コケを入れた封筒に、新種の発表者や年代、採取場所などを明記。同研究所を設立した故・服部新佐博士が1960年代に新種として発表した、ニューギニアで採取されたものなどがある。
 同日は市民が訪れ、研究員の説明を受けながら興味深そうにタイプ標本などを見ていた。
 公益財団法人・服部植物研究所の南壽(なす)敏郎理事長は「(設立から)75年を超える年月がたち、いろんな研究者の空気感があるので感じ取ってほしい」と話していた。

© 株式会社宮崎日日新聞社