<金口木舌>リアルな絆を深める機会に

 世界に開かれた港町として栄えたブラジル・サントス市。1910年代に港湾労働者を束ねていたのは国頭村出身の上原直松だ

▼長男の松太郎は貿易会社を営む傍ら市議や市長を歴任。孫のマウリシオは鉄鋼業界で活躍した後、市幹部としてサントスの発展に尽力するなど、ブラジルでは政治やビジネス、医療業界などさまざまな分野で県系人が活躍する

▼感心するのはルーツへの関心が高く、エイサーや三線などを学ぼうとする人たちが多いことだ。国頭村出身で琉球大学で移民について学んだ仲本いつ美さんもそう感じたという

▼移民100周年の2008年にブラジルやアルゼンチンに渡った仲本さんは「沖縄の若い世代も海外の県人に関心を持つべき」と提言した。現在、国頭村で宿泊事業を展開する会社を経営し、やんばるの自然や伝統文化の素晴らしさを発信する

▼10月30日に開幕する世界のウチナーンチュ大会がオンラインと合わせ「リアル開催」される。世界のウチナーンチュに古里の良さを伝え、絆をさらに深める機会にしたい。

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