シリーズ「こどもとせんそう」。子どもに「戦争と平和」を伝える手段として注目されている絵本についてです。
『せんそうしない』は、詩人・谷川俊太郎さんの文に静岡県三島市に住む絵本作家、えがしらみちこさんが絵をつけた絵本です。「戦争はいけない」という当たり前のことを、子どもたちにどう伝えていくか?えがしらさんと一緒に考えます。
「怖く描くことで伝えるのか、どうしようか」
ちょうちょと ちょうちょは せんそうしない
きんぎょと きんぎょも せんそうしない
ごはんと ぱんは せんそうしない
わいんと にほんしゅは せんそうしない
『せんそうしない』の絵を描いた、えがしらみちこさん(44)です。えがしらさんは娘の出産をきっかけに、静岡県三島市に移住しました。家族と暮らしながら、絵本作家として活動しています。
絵本『せんそうしない』は2015年、戦後70年の節目に講談社が企画した絵本です。戦争体験者で、昭和の時代から第一線で活躍し続ける詩人・谷川俊太朗さん(90)が絵の担当にえがしらさんを指名したそうです。
<えがしらみちこさん>
「戦争しないって言う単語がずっと繰り返されていてて、それをさらに怖く絵を描くことによって怖い印象にして戦争をよくないよって伝えたほうがいいのか、どうしようかなぁって思って」
「でも、私はそんな怖い絵を描くのが得意な方ではないので、むしろ明るい楽しい風景を描くことで、その文章と重なって強さが際立つといいなぁと思いながら書きました」
「けんかは するけど せんそうしない」
谷川さんの詩には、「ころされる」や「しぬ」といった絵本にはあまり使われない強い言葉が出てきます。
「戦争」という日本の子どもだけでなく、多くの大人も体験したことのない出来事をどう、表現するか?えがしらさんが描いたのは日常でした。
えがしらさん
「私は娘ができて、それで、あぁ絶対戦争なんかその自分が死んだ後も、起こってほしくない。絵本の絵が明るくて、失いたくないと思えば思うほど、戦争はしたくないという思いが強くなるかなと思って、絵を描きました」
三島大社近くにある絵本専門店「えほんやさん」。えがしらさんが経営しています。8月、終戦の日に合わせて戦争や平和をテーマにしたコーナーをつくりました。
<えがしらさん>
「戦争とか平和を考えるきっかけになる本を並べているんですけど、おうちにありますか?」
<客>
「ないですね。戦争系のは。なかなか絵本で戦争を伝えるのって難しいですよね。いま、戦争もあるし簡単に伝えられたらいいなとは思いますけど」
<えがしらさん>
「絵本を親子で読むことで、戦争について、親子で会話したり想像したりして、より今の日常がどんなに大切だとか、かけがえのないものかを感じてもらえたらいいなと思います」
こどもと こどもは せんそうしない
けんかは するけど せんそうしない