神代踊り 秘境に伝わる雨乞い祈願の舞い パート1 「神代の昔から」いにしえの民俗芸能

徳島県三好市西祖谷山村善徳、祖谷のかずら橋があるこの集落では、国指定重要無形民俗文化財の神代踊りが伝承されている。7月23日(旧暦6月25日)、3年ぶりに、この伝統ある踊りが地元保存会や児童によって奉納された。

徳島県三好市 西祖谷の神代踊りが3年ぶりに奉納 歴史ある雨乞い祈願

秘境祖谷。かずら橋があり、山々に集落が点在する、昔ながらの風景の残る場所。ここでは、貴重な祭りや踊りなども伝承されている。

そのうちのひとつである、神代踊り。今年は3年ぶりに奉納された。

三好市西祖谷善徳 旧暦6月25日に集う人々

7月23日、朝8時、「当屋踊り」の会場には、着付けのため、続々と地元の人々が集まってきた。

善徳神代踊り保存会の会長、小野寺武夫さんも、昔から使われてきたというほら貝の手入れをしている。

踊り手のベテランも児童も続々と到着。衣装に着替えるため、建物に入っていく。

カラフルな衣装 年季の入ったお面、花笠、着物を身に着けて

しばらくして、一人、また一人と鮮やかな踊りの衣装で建物から出てくる踊り手達。「きれい!」という歓声に、大人たちは誇らしげ、そして児童たちは少し照れている。

踊り手の方々に衣装のことをうかがっていると、「天満宮まで上がったら、緑にこの衣装が映えて本当にきれい。カメラマンもきっとたくさんいるよ。」と教えてくれた。

二つの場所でこの踊りは行われる。

国の重要無形民俗文化財にも指定 祖谷の伝統芸能 神代踊り

そして、ほら貝の合図から、鉦や太鼓で踊りが始まる。

今、この会場で行われているのは「当屋踊り」。昔は、祭りの度に、その祭りの世話役になる家で行われた。現在では、この会場で「当屋踊り」、そしてこの後は山頂まで上がり、天満宮神社で踊りの奉納を行う。

秘境の踊りの由来と命名

この神代踊りは888年、菅原道真が讃岐守の際に、干ばつで苦しむ農民のために雨乞い祈願の踊りを行ったのが起源とされている。

ここ西祖谷善徳では、踊りの奉納は江戸時代にはすでに行事となっていたようだ。名前も、昔は「笠踊り」や「太鼓踊り」と呼ばれていたが、大正時代に皇太子(昭和天皇)が行啓された時から、「神代踊り」と命名された。

また、雨乞いだけではなく、次第に豊作と無病息災をも祈願するようになった。

パート2では、天満宮神社での神代踊り奉納を紹介する。

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>>神代踊り 秘境に伝わる雨乞い祈願の舞い パート2 山の静寂に包まれて 鮮やかな舞の奉納

神代踊り

西祖谷山村善徳天満宮神社

旧暦 旧暦6月25日

大歩危祖谷ナビ
文化遺産オンライン

(取材・文・写真: ショーン ラムジー)

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