電気代高騰で、年2万円以上増える可能性も。楽天、ドコモ、au、PayPay…電気代の支払いがお得な経済圏は?

原油高騰、ウクライナ侵攻、インフレ、円安…。電気代は、政治・経済・国際情勢のさまざまな影響を受けて上昇を続けています。だからといって、電気を使わないわけにもいきませんね。暑い夏が続けば、使用する電力量も増え、電気代はすさまじい勢いで上昇します。今回は、そんな電気代のダメージを少しでも緩和するための固定費(電気代)の払い方を解説します。


電気代は前年比で毎月2000円程度も値上がり

電気代は毎月少しずつ、しかし確実に値上がりしています。東京電力が毎月発表している「燃料費調整のお知らせ」には、平均的な使用量の家庭(平均モデル:従量電灯B・30A、使用電力量260kWh/月の場合)の1か月の電気料金が記載されています。2021年と2022年の毎月の平均モデルの電気料金を比較したのが次のグラフです。

東京電力「平均モデル」の電気料金比較

東京電力「燃料費調整のお知らせ」をもとに(株)Money&You作成

2021年と2022年のグラフを比べてみると、明らかに2022年のほうが値上がりしています。実際、2021年から2022年の増加額は、1月は約1,300円、2月から7月までは約1,600円〜1,800円、そして8月・9月は2,000円以上になっているのです。

東京電力の場合、2022年9月の電気料金は、燃料価格の変動分を反映する制度に基づく料金の上限に達しました。1997年以来25年ぶりのことです。東京電力だけでなく、電力大手10社のうち9社がすでにこの上限に達しています。

このまま電気代が高止まりすることになれば、年2万円〜3万円程度の支出増になることも考えられます。夏は電気代がやばい季節ですが、冬も同様にやばい季節です。今から電気代を抑える対策が欠かせません。

電気代は口座振替とクレジットカード、どちらがお得?

毎月の電気代を銀行の口座振替で支払っている方も多いと思います。しかし、電気代はクレジットカードで支払うこともできます。

電気代をクレジットカードで支払うと、金額に応じてポイントがもらえます。電気代は毎月必ず支払うものですし、数千円、1万円超と相応の金額を支払うものでもあります。ですから、電気代をクレジットカード払いにすることで、ポイントを着々と貯めることができます。

また、電気代だけでなく、ガスや水道など、他の公共料金やその他の支払いなどを同じクレジットカードで決済すれば、家計を一元管理しやすくなります。口座振替の期日は、支払う料金によってまちまちです。しかし、クレジットカードならすべてまとめて後から一緒に支払うことができるので、管理しやすくなる、というわけです。

ただし、電気代をクレジットカードで支払うのが本当にお得とは限りません。電力会社のなかには、銀行の口座振替割引を用意しているところがあります。口座振替割引がある場合は、口座振替のほうがお得になる場合もでてきます。

たとえば東京電力の場合、口座振替を利用すると電気代が毎月55円(税込)、年間660円の割引が受けられます。クレジットカード払いではもちろん口座振替割引は利用できませんので、場合によっては口座振替のほうがお得になるというわけです。

口座振替とクレジットカード払い、どちらがお得になるかは、クレジットカードのポイント還元率によって変わってきます。電気代をクレジットカードで支払うことで、55ポイント(55円分)以上のポイントがもらえるのであれば、クレジットカード払いの方がよいでしょう。

口座振替とクレジットカードの損益分岐点

(株)Money&You作成

ポイント還元率が1.0%のクレジットカードの場合「毎月5,500円以上」が電気代の損益分岐点となります。55円の割引よりももらえるポイントのほうが多いので、クレジットカードを利用して支払ったほうがお得です。

ポイント還元率が0.5%のクレジットカードの場合も同様で、「毎月1万1000円以上」が損益分岐点となります。このところ、電気代は上昇していますが、口座振替割引の割引額は変わっていないので、クレジットカード払いにしたほうがお得な方が増えていると考えられます。もしも口座振替を利用しているのであれば、クレジットカード払いへの切り替えを検討しましょう。

楽天、ドコモ、au、PayPay…電気代の支払いがお得な経済圏は?

ポイントをたくさん貯めるために、同じ系列会社のサービスを複数使う「経済圏」を活用している方もいるでしょう。電気代の支払いにおいては、どの経済圏がお得でしょうか。

【楽天経済圏】楽天カードはうまみが少ない

楽天カードでは、以前は電気代など公共料金の支払いで1%の楽天ポイントの還元が受けられていました。しかし、2021年6月以降、楽天カードでは電気・ガス・水道・税金といった公共料金の支払いでは0.2%のポイント還元(500円で1ポイント)しか受けられなくなってしまいました。楽天経済圏を利用していて、楽天ポイントを貯めたいならば「楽天でんき」があるのですが、本稿執筆時点(2022年7月29日)は新規の申し込みを停止しています。もしも楽天カードで電気代を支払っているのであれば、他のクレジットカードの利用を検討しましょう。

【ドコモ経済圏】dカード1%還元・ドコモでんきもお得

ドコモ経済圏のクレジットカード、dカードは電気代をはじめとする公共料金の支払いでも1%のdポイントがもらえます。年会費も無料ですので、電気代の支払いに役立ちます。
また、2022年3月にスタートした「ドコモでんき」はdポイントの還元が大きく受けられるサービスです。具体的には、次のとおりです。

○ドコモでんきGreen(基本料金は地域電力+500円)
・対象のドコモ回線契約あり・dカードGOLD会員:電気料金の10%還元
・対象のドコモ回線契約あり:電気料金の5%
・その他:電気料金の3%

○ドコモでんきBasic(基本料金は地域電力と同じ)
・対象のドコモ回線契約あり:電気料金の3%
・その他:電気料金の2%
※対象のドコモ回線契約…ギガホ・ギガライト・ahamo

おすすめはドコモの回線契約がある方。dカードGOLDは年会費が1万1000円(税込)のクレジットカードですが、ドコモのケータイやドコモ光の料金の支払いにdカードGOLDを利用することで10%のポイント還元(税抜1000円ごとに100ポイント)が得られます。そのうえ、ドコモでんきGreenを利用すれば電気代からも10%のポイント還元(税抜100円ごとに10ポイント)ですから、年会費を支払ってもまとめて使うことでポイントがたくさんもらえるでしょう。

ただ、ドコモでんきGreenの基本料金は地域電力より500円高いので、たとえば電気代が8,000円で800ポイントの還元を受けたとしても、実質お得になるのは300ポイント、という点は押さえておきましょう。

「dカードGOLDは敷居が高い」という方でも、ドコモ回線を利用しているのであれば、ポイント還元が多くなります。ドコモでんきBasicなら基本料金に上乗せなしで3%還元が得られます。

【au経済圏】au PAYカード1%還元・auでんきで最大5%還元

au PAYカードもdカードと同じく、公共料金の支払いで1%のPontaポイントの還元が受けられます。年会費も無料です。
また、auのスマホやauひかりのユーザーならば「auでんき」を利用すると毎月の電気代に応じて最大5%のPontaポイントが貯まります(auでんきポイントで割引)。具体的には電気代が
・4,999円以下:1%
・5,000円〜7,999円:3%
・8,000円以上:5%
となっています。auでんきポイントで割引とau PAYカードの1%ポイント還元は両方とももらえるので、併用がお得です。

【PayPay経済圏】スマホで払えて便利だが還元なし

スマホ決済アプリのPayPayでは電気代をはじめとする請求書のバーコードをスマホで読み取って支払いすることができます。

わざわざコンビニなどに行かずとも支払いができて便利なのですが、残念ながら2022年4月1日よりポイント還元の対象外となってしまいました。したがって、ポイント目的であれば他の決済方法を利用したほうがいいでしょう。

政府からもらえる「節電ポイント」にも注目

電力供給がひっ迫し、節電が呼びかけられる状況のなかで、政府は節電に協力する家庭に「節電ポイント」の付与を行います。

節電ポイントがもらえるのは、電力会社などの節電プログラムに参加する家庭です。

電力会社では、たとえば、

  • 東京電力エナジーパートナー「夏の節電チャレンジ2022」
  • 東京ガス「節電チャンスタイム」
  • 関西電力「夏の節電プロジェクト2022」
  • 中部電力ミライズ「NACHARGE(ネイチャージ)」
  • ソフトバンクでんき「節電チャレンジ」

といった節電プログラムを展開しています。いずれも、指定の日時に一定の節電を行なった場合にポイントがもらえるプログラムです。

これらの節電プログラムに参加した世帯に対して、政府が節電ポイントとして、一律で2,000ポイントを付与します。また、冬にも電力がひっ迫することから、政府はポイントの上乗せを追加で検討しているそうです。

ただ報道によると、電力会社の節電プログラムの参加世帯数は100万世帯ほどとのこと。普及は全世帯の2%程度と伸び悩んでいるようです。ですが、節電に役立ち、電気代も抑えられ、ポイントまでもらえるのですから、ここはぜひ参加することをおすすめします。

自治体が実施する「節電エコポイント」にも注目

自治体によっては、節電することでポイントがもらえる「節電エコポイント」の制度を実勢しているところもあります。

たとえば、東京都板橋区「いたばし環境アクションポイント事業」では、2022年8月または9月(夏期)・10月(中間期)・12月(冬期)の電気・ガスの使用量を前年と比較して削減できた場合、削減率に応じて最大5,000ポイント(電気・ガス各2,500ポイント)のポイントがもらえます。ポイントは、1ポイント=1円相当の区内共通商品券と交換可能です。

また、石川県金沢市「令和4年度節電エコポイント事業」では、2022年12月〜2023年2月の冬季3か月間の電力使用量が前年同期間より削減できた場合、削減率に応じて最大2,000ポイントがもらえます。このポイントも市内の店舗で利用できます。

お住まいの自治体でも、節電することでポイントが得られたり、景品がもらえたりするキャンペーンを実施しているかもしれないので、確認してみましょう。

まずはお得な払い方をチェックしましょう

ますます家計を圧迫する電気代高騰に対して、払い方の工夫で削減する方法を紹介してきました。まずはクレジットカード払いのほうがお得になるかどうか、毎月の電気代を確認することからはじめましょう。

そして、クレジットカード払いのほうがお得ならば、よりお得になるクレジットカードを利用することが大切です。自分が利用している経済圏でもお得な支払いができないか要チェック。これからも値上がりすると考えられる電気代を抑えるためにも、ぜひ行動に移していきましょう。

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