思わぬ発見!江戸時代の版木、琉球古銭を紹介した冊子と一致 王国貨幣2種類 民芸館館長「専門家の評価を」 沖縄市 

 【沖縄】沖縄市諸見里の私設諸見民芸館(伊禮信吉館長)に琉球王国で鋳造された3種類の貨幣が紹介された180年前の江戸時代発行の古銭売買の冊子と、印刷の原版とみられる版木1枚が所蔵されていることが分かった。特に版木の歴史的価値が注目される。

 約5万点の民芸品を収蔵、展示する同館。昨年11月、開館50周年を迎え今年5月まで記念展を開催していた。一段落後、資料整理をしていた伊禮館長(74)は「古銭冊子が見つかり、大切に保存していた版木に刻印された王国貨幣2種類と一致することを確認した」と思わぬ“発見”を興奮気味に話す。

 古銭冊子は1842年(天保13年)発行。和紙つづりの縦約22センチ、幅約15センチの上、中、下の合本で表紙を含め18ページ。中国古銭を中心に350種余の実物大で印刷され、大きさ、重量、売買価格などが記されている。

 その中に1400年代に鋳造された「琉球三世銭」と呼ばれる「大世通寶(ほう)」(尚泰久王時代)、「世高通寶」(尚徳王時代)、「金圓通寶」(尚円王時代)の銅貨3種類が紹介され、版木で確認できるのは「大世通寶」と「世高通寶」。

 厚さ1センチ余の版木は縦約20センチ、横28センチ余。表、裏で4ページ分。材質は不明で黒ずんでいるものの版紋は明瞭で状態は良好だ。版木は十数年前、那覇市内のコレクターから購入した。現代版のカタログである古銭冊子の入手先の記録は不明と残念がる。

 版木と冊子の“一対”の資料だけに伊禮館長は「専門家に精査と評価をお願いし、早期に公開したい」と期待している。問い合わせは同館(電話)098(932)0028。

 (岸本健通信員)

※注:伊禮館長の「禮」はネヘン

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