『ロッキー4』を再編集!94分のうち42分が未公開シーン!!『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』スタローンが語る「過去の“ミス”を修正したかった」

『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』©︎2021 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

シルヴェスター・スタローンが自ら再構築し、ディレクターズ・カット版として約35年の時を経て帰ってきた『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』が2022年8月19日(金)より全国公開を迎える。映画史に残る『ロッキー4/炎の友情』から80年代のトレンディ感を消したかった!? スタローンが本作の再編集に乗り出した理由や追加されたシーン、作品に込めた思いを語った。

1985年、ロッキー・バルボアが友人であり師でもあるアポロ・クリード(カール・ウェザース)のために戦い、ソ連の支援を受ける身長194cm、体重118kgのロシアの殺人マシーン、イワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)に立ち向かう姿が世界中へ勇気を与えた『ロッキー4/炎の友情』。米ソの緊張が高まる中、1976年にアカデミー作品賞を受賞した『ロッキー』にはじまり『ロッキーII』(1979年)『ロッキーIII』(1982年)と続く、天文学的な成功を収めたシリーズの4作目として公開された本作は、政治色が強く挑戦的な作風にも関わらず、ロッキーシリーズ史上の最高興行収入を記録した。

本作が俳優デビューとなったドルフ・ラングレン扮するドラゴは映画史上最高の悪役として称賛され、史上最も愛される映画の一つとなった。その後、アポロの息子を主人公にした『クリード チャンプを継ぐ男』(2015年)が誕生し、アポロの息子をコーチングするロッキーの姿が描かれ、その続編『クリード 炎の宿敵』(2019年)では、クリードがドラゴの息子と戦う物語が描かれ、ロッキーとドラゴが再会する姿が描かれた。

スタローン自ら何百時間もかけて再編集!! 追加されたシーンとは!?

数々の伝説を打ち出したフィラデルフィアのスーパースター、ロッキーは今も世界中から愛されつづけているが、以前からスタローンは『ロッキー4』を望みどおりの作品へと編集し直したいと思っていたという。そして2020年、コロナ禍でロックダウン期間中、スタローンは長い間計画していた『ロッキー4』の再編集に取り組んだ。重要な場面を再編集し、物語を引き締め、音響を調整し、いくつかの場面を削り、新たな場面を追加していく……。スタローンはロサンゼルスの編集室で何百時間もかけて、未使用の映像も含め見直し、代替音声トラックや代替音楽について考え、カットすべきシーンは?新しいアングルがないか?など、必要なシーンや音楽を徹底的に探した。

本作に追加されたシーンは、アポロがロッキーとエイドリアン(タリア・シャイア)にドラゴと戦う計画を話すシーン、エイドリアンがロッキーに、アポロがドラゴと戦うことについての不安を語るシーン、アポロの葬儀でのデューク(トニー・バートン)のスピーチや、ロッキーがアポロへ感謝し男泣きするシーン、ロッキーのソ連での試合の影響を議論するボクシングコミッションの緊迫した会議などのシーンなど、ファイターたちの戦いまでの物語が重層的に伝わってくる貴重なシーンが多数追加された。

再構築された『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』は、物語に深みが増し、80年代に社会が抱いていた米ソ間の核摩擦による不安や恐怖を、今を生きる我々に伝えながら、ロシアの現状をスタローンが先読みしたかのような新解釈も追加されている。戦争が起きている社会で生きる私たちにとって、全く違う価値観の国の人間が真摯に向き合い理解し合うことが可能なのか?を描き、2022年の今だからこそ観るべき作品に仕上がっている。

スタローンが再編集のきっかけとなった製作当時の失敗を語る

スタローンは、『ロッキー4』を再編集するきっかけになった失敗を振り返り、「当時の『ロッキー4』のアプローチは間違っていた、作品の汚名を返上させてあげたい」と語った。

スタローンは『ロッキー4』について「過去の自分のミスを修正したかったんだ。例えば80年代っぽいトレンディな部分を直してドラマの中身に重点を置きたかった。派手な部分を削除し登場人物の心に注目してより感情的に、僕流でいうとより責任感を持ちたかった。80年代は、映画やテレビにとって大きな過渡期で、MTVが人々のものの見方を形成し始めた時期だった。クイックカット、フラッシュ、画面上のスモーク、バックライトなど、フラッシュダンスのような見た目がたくさんあった。私はその風潮について行きたいと思ってしまって、当時はロボットや音楽、ヒット曲など、表面的な安っぽさに夢中になっていた。

__その後、『ロッキー4』はちょっと悲しい物語だなと思い直したことがあってね。私(ロッキー)は親友のアポロを亡くしてしまうだろう。ドラゴはフランケンシュタインの怪物のようなもので、使い物にならなくなったら捨てられてしまう悲劇的なキャラクターなんだ。だから、そのような瞬間を作品に盛り込もうと思ったのさ。息子と話したり、アドリブで“自分のために何かをしなければならない、それが年を取ってから自分を狂わせることになる”というようなことを言ったりしてね。そういうちょっとした瞬間が、当時の『ロッキー4』には欠けていたんだ。
一番儲かったのに、変な扱いをされてしまった。今、私は再編集された作品を映画館で上映することで、その汚名を返上し、“これは正当なドラマだ”と言わせたい。ただのバカバカしいモンタージュじゃない、と言いたいんだ。」__と話している。

また、スタローンは当時は映画監督として未熟だったと明かしており、「若い頃は忍耐力が足りなかったと思う。ある瞬間をじっくりと味わうことなく、急いでやってしまったところがあった。今は、その欠点がよくわかる。若い頃の俺は、とにかく早く終わらせたいと思ってしまったんだろうね。戦いを描くのと、その戦いの核心に迫ることと、どちらが大事か。当時は、映画監督としての自分を今ほどには信じていなかった。今だから思えることは、価値あるものは、輝きそのものではなく、その輝きの下にあるものが重要なのだということなんだ。」とも語っている。

35年経った今、スタローンが本作の再編集を手がけたことによって、ロッキーの内なる旅、イワン・ドラゴの変化、アポロ・クリードの悲劇が強調され、映画の核であるドラマがより濃く描かれている。

スタローンは「タイムマシンに乗ったかのようなチャンスを得たことに感謝している。僕は変わったし、映画も変わった。オリジナルが作られてから35年の間に、僕はたくさんのことを経験し、生きてきた。この映画は、単なるボクシング映画という枠を超え、人間対機械、厳格な個人主義、そしてシステムとの戦いについて描いているんだ。」と思いを込めた。

ロッキーVSドラゴ、アポロVSドラゴが大スクリーンのリングで大激突! 時代が変わっても、色褪せない情熱と感動が息づいている――。42分の未公開シーン×4K デジタルリマスター×ワイドスクリーン×5.1ch サラウンドで蘇る新生ロッキー!!『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』は2022年8月19日(金)より全国ロードショー。新たな「ロッキー」伝説を体感せよ!

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