レッドブル&HRC密着:新体制でも関係性は良好、PUに致命的なトラブルなし。ライバルにかまわず選手権制覇へ/前半戦総括

 2021年にチャンピオンシップを奪還したレッドブルとホンダにとって、チャンピオンとして迎えた2022年は、パートナーを組んだ2019年からの3年間とは異なる新しいシーズンとなった。ホンダが2021年限りでパワーユニットマニュファクチャラーとしてF1参戦を終了したからだ。

 F1参戦を終了したものの、ホンダは2021年までパワーユニットを供給していたレッドブルとアルファタウリがF1活動を継続できるよう、2022年以降もホンダ・レーシング(HRC)を通してパワーユニットをレッドブル・パワートレインズへ供給し、レッドブル・パワートレインズの名で運用されている。

レッドブルRB18に飾られた『HRC』のロゴ

 ハード面だけを見れば、レッドブルの車体にはホンダが開発・製造したパワーユニットが搭載されているので、2021年までと変わりないように思える。しかし、ホンダ側の現場でレースをする体制は大きく変わった。

 昨年までテクニカルディレクターとして現場を統括していた田辺豊治がその座を下り、昨年まで副テクニカルディレクターだった本橋正充が田辺の後を引き継いだ。また、昨年までレッドブル側のホンダのチーフエンジニアを務めていたデビッド・ジョージも去った。後任は不在のままだが、レッドブル・パワートレインズ側へのサポート業務を行う上でのホンダ側のマネージャー役を吉野誠が務め、新しい体制でレッドブルとともにレースを戦っている。

 新しい体制とは、昨年までホンダが現地採用していたスタッフの多くがレッドブル・パワートレインズへ移籍し、レッドブル・パワートレインズのスタッフとしてレース活動をしていることだ。これまではホンダのスタッフだったので、ホンダのリーダーが直接パワーユニットを担当するスタッフに指示を送ることができたが、今年からレッドブル・パワートレインズ側のリーダーへ要求を送り、そこから担当するスタッフへ指示を出してもらわなければならなくなった。

 つまり、レッドブル・ホンダからレッドブル・HRCに変わったことで、ホンダもこれまでとは違う対応を迫られたが、レッドブル側もレッドブル・パワートレインズという組織を運営しなければならず、シーズン序盤はこれまでとは違う苦労がともなった。

レッドブル・レーシング代表 クリスチャン・ホーナー

 そのような状況だったにもかかわらず、レッドブルは開幕戦と第3戦オーストラリアGPで燃料システムに不具合を起こしてリタイアした以外、トラブルは起こしていない。またHRC側もレッドブルへ供給しているパワーユニットに関しては、第13戦ハンガリーGPでマックス・フェルスタッペンのパワーユニットのあるパーツに不具合を発生させた以外は、致命的なトラブルは起こしていない。

 こうしたところにも、レッドブルとHRCの関係が良好であることが伺える。たとえば、序盤戦に不具合が発生した燃料システムに関しては、ホンダ側の協力によって、問題は解決した。またハンガリーGPでのフェルスタッペンのパワーユニットのトラブルも、レッドブルがHRCの提案を受けて、早期にパワーユニット交換を決断したことがレースでの逆転優勝につながった。

 そういった意味では、レース走行中にマシン後部から出火した直後にフェルスタッペンにすぐに止めさせる指示を無線で送り、フェルスタッペンに1コーナー脇でマシンを止めさせた一連の行動は、ファインプレーだった。あの早期の消火活動によって、フェルスタッペンの1基目のパワーユニットは被害を最小限にとどめ、4戦目以降も走り続けたからだ。

2022年F1第3戦オーストラリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がトラブルでリタイア

 夏休み直前のトラブルもICEそのものには問題がない模様で、2基目のICEもまだ使用できる状態だろう。そうなれば、後半戦への期待は、昨年実現できなかった年間3基のICEでシーズンを戦う抜いたうえで、コンストラクターズ選手権を制すること。ライバルチームがトラブルに見舞われようと、戦略ミスで沈もうが、レッドブル・HRCはさらなる高みを目指して、自らを律して戦い抜いてもらいたい。

2022年F1第2戦サウジアラビアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2022年F1第7戦モナコGP セルジオ・ペレス(レッドブル)が優勝
2022年F1第8戦アゼルバイジャンGP マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスの1-2を祝うレッドブル
2022年F1第13戦ハンガリーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

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