小林可夢偉の元チームメイトが新興ベクター・スポーツからWEC富士に代役出場へ。SFテスト経験もあり

 9月9〜11日に富士スピードウェイで行われるWEC世界耐久選手権第5戦『富士6時間レース』を欠場するニコ・ミューラーの代役として、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にチップ・ガナッシ・レーシングのキャデラックDPi-V.Rで参戦中のレンガー・バン・デル・ザンデが出場することが決まった。

 バン・デル・ザンデはLMP2クラスのベクター・スポーツ10号車オレカ07・ギブソンのステアリングを、IMSAのチームメイトでもあるセバスチャン・ブルデー、そしてライアン・カレンとともに握る。

 IMSAでは、小林可夢偉とともにデイトナ24時間レースを2019年、2020年と2度制しているバン・デル・ザンデは、今季、IMSA・DPiクラスでブルデーとともに3勝をマークしている。

 今回バン・デル・ザンデは、日程が重複するスパ・フランコルシャンでのDTMドイツ・ツーリングカー選手権への出場を優先するミューラーの代役という形で、2021年最終戦以来のWEC・LMP2出場を果たすこととなった。なお、2022年WEC第3戦のル・マン24時間レースには、JMWモータースポーツのフェラーリ488 GTE Evoを駆って、LMGTEアマクラスにも参戦した経験を持つ。

「富士スピードウェイは(2011年に)スーパーフォーミュラでテストしたことがあるが、ここ数年のパンデミックの影響もあってレースに出場する機会はなかったので、とても楽しみにしている」とバン・デル・ザンデ。

「そこにはとてもいい思い出があるし、ベクター・スポーツとともにその場にいられることが楽しみだ」

「今年はセブ(ブルデー)と一緒に仕事をして、とてもいいパートナーシップを築くことができている。彼はセットアップにとても詳しく、僕は“プラグ・アンド・プレイ”(※つないだらすぐに機能する、という意)なので、ベクターのLMP2にも簡単に乗れることを期待しているよ」

「オレカは実績もあって、LMP2マシンのなかでも最高だし、とてもいいクルマで扱いやすい。セブと僕はセットアップの好みが一致しているし、ライアンも同じように考えていると聞いているので、待ち遠しいね」

 今季がWEC初参戦となるベクター・スポーツは、これが2度目のドライバー変更だ。開幕戦のセブリング1000マイルでは、ガナッシのDPiドライバーとして同週末のIMSAセブリング12時間レースに参戦するブルデーに代わり、マイク・ロッケンフェラーが起用されていた。なお、前戦モンツァではブルデー/ミューラー/カレンがクラス3位となり、初の表彰台を獲得している。

 チーム代表のゲイリー・ホランドは、今回の富士のラインアップ調整について次のように語っている。

「富士がDTMとバッティングすることはシーズン開始時点で分かっていたし、ニコとの契約では、いかなる日程重複が生じる場合でも、彼がDTMを優先するということになっていた」

「キャデラック・レーシングとチップ・ガナッシ・レーシングには、この1戦のためにレンガーをリリースしてくれたことに感謝している。完璧な代役だ」

「彼はセブと親密な関係にあり、コースやオレカ07のことをよく知っているので、ベクター・スポーツにうまくフィットしてくれるものと確信している」

 これにより、DTMとWECとの日程重複の影響を受けた3名のドライバーの代役が決定した。

 アウディスポーツのファクトリードライバーであるドリス・ファントールは、WRTの31号車オレカでレネ・ラストの代役を、ダビデ・リゴンはAFコルセの54号車フェラーリでニック・キャシディの代役を務めることがすでに明らかになっている。

ベクター・スポーツの10号車オレカ07・ギブソン(ニコ・ミューラー/ライアン・カレン/セバスチャン・ブルデー) 2022年WEC第4戦モンツァ
2019デイトナ24時間レースで総合優勝を喜ぶフェルナンド・アロンソ、ジョーダン・テイラー、レンガー・バン・デル・ザンデ、小林可夢偉

© 株式会社三栄