河北春秋(8/17):外国の歴史や文化を知りたくて旅をする。実…

 外国の歴史や文化を知りたくて旅をする。実際に足を運ばなければ分からない雰囲気や食。橋渡し役として通訳やガイドの存在は大きい。その人次第で、旅の思い出は全然違ってくる▼新型コロナウイルス禍で訪日客が激減し、通訳とガイドを同時に担う「全国通訳案内士」が苦境に立たされている。全日本通訳案内士連盟のアンケートによると、昨年のガイド収入がゼロだった案内士は80%。元々、他の仕事と掛け持ちしている人は少なくないが、20~30%が他業種に移ったとの見方もあるという▼案内士は国家資格。英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語など10言語の試験が実施されている。昨年度の受験者は3834人でコロナ禍前の2019年度から47%も減少した▼ロシア語通訳の第一人者として知られる故米原万里さんは、通訳者の仕事を聞き手と語り手の間を取り持つことと認識していた。人間は他者とのコミュニケーションを求めてやまない動物と信じるがゆえ、少しでも分かり合えることを目指して通訳を続けた▼訪日客の受け入れが6月に再開されたばかりなのに、コロナの流行「第7波」が襲いかかってきた。本当に難しい局面なのだけれど、異文化を理解しようとする営みをこれ以上ウイルスに邪魔されるのはつらい。(2022.8・17)

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