宮城ホヤのブランド化 国内消費拡大につなげたい 社説(8/17)

 「宮城のソウルフード」と呼ぶ人もいる。県を代表する水産品の再興を官民挙げて支援したい。
 鮮度管理と品質維持を徹底した宮城県産ホヤを認定する地域ブランド「ほやの極み」が今年5月に立ち上がった。東日本大震災後に国内消費が伸び悩む現状を打開するため、甘みといったホヤ本来の味わいを保つ取り扱い方法を確立した。高い品質の県内産を広くアピールすることで全国への販路拡大を目指す。
 地域ブランドを企画したのは、ホヤの生産や加工に携わる19事業者と県、県漁協などで組織する「宮城ほや協議会」(石巻市)。宮城大との調査に基づき、認定基準として(1)水揚げしてから真水を吸わせない(2)10度以下の温度を維持する(3)殻付きは水揚げから2日以内に消費する-の三つを定めた。事業者から申請を受けて協議会が審査し、ほやの極みの認定企業とする仕組みだ。
 協議会によると、輸送や販売の工程でホヤが真水を吸収すると独特の臭みが出てしまう。臭みの生じた物の流通が普及を妨げている面があるといい、田山圭子会長は「販売先にも管理方法を周知し、甘くて新鮮な味を広めたい」と意気込む。
 現在の認定企業は石巻市の加工会社3社。インターネット販売を展開するほか、スーパーや飲食店への周知に努める。生産、加工、運送、小売りの過程で鮮度が落ちないようにそれぞれの担当者名を記すチェックリストの取り組みも進める。むき身の鮮度管理に関する基準も策定する方針だ。
 県産ホヤは現行の統計手法を取り始めた1970年ごろから全国1位の収穫量を誇っていた。震災で養殖施設が大きな打撃を被った後、14年から首位を守り続けた。19年は生産量が急伸した北海道にトップを奪われたが、20年から再び首位に。21年は全国の47%に当たる4400トンに上った。
 とはいえ、震災前の生産量7000~1万トンには届いていない。ほやの極み認定企業の一つは「取引は東北が中心で消費が広がっておらず、ホヤは海中で余っている状態」と言う。国内での消費拡大が課題になる中、鮮度管理の大切さを広める今回の取り組みへの期待は大きい。
 一大消費地だった韓国が東京電力福島第1原発事故後の13年9月から禁輸措置を取っており、販路の約7割が失われている。国には放射性物質検査を徹底していることのアピールと合わせ、早期の措置解除に向けた働きかけを強めてほしい。
 ブランド化の動きは落ち込んだ生産量の回復や販路拡大に加え、ホヤの認知度を高める試みを促す環境づくりにもつながっていくだろう。生産者のさらなる奮起を後押しするためにも着実な戦略を描きたい。

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