“約束の地” 稲佐山で9月凱旋ライブ 長崎出身シンガー・ソングライター松尾貴臣

12年前に目標に掲げた稲佐山でのコンサートに意気込む松尾=長崎新聞社

 「古里長崎の稲佐山で単独ライブをするからぜひ来てください」-。長崎市出身のシンガー・ソングライター、松尾貴臣=千葉市在住=が約10年前、ファンに誓った約束の「稲佐山凱旋ライブ」が9月3日に迫った。稲佐山公園野外ステージでいよいよ再会の約束を果たす。
 松尾は2007年から、ギターを手に単身マイカーで全国の病院や高齢者福祉施設などを巡るホスピタルライブを計2810回実施してきたまれなシンガー・ソングライターだ。
 県立長崎北高時代に歌手への夢を抱いた。千葉大に進学するとバンドを組み、大学院生時代には地元商店街を活気づける活動も展開。その後、ある末期がん患者との出会いをきっかけにホスピタルライブを始めた。
 「高齢の患者や入所者らは泣いたり笑ったり。もっと琴線に触れる歌を作りたい。元気を届けたい」。聴く側に分かりやすい歌詞やメロディーと「心に最短距離で届く歌」にこだわってきた。
 ホスピタルライブは、坂本龍馬をほうふつとさせる紋付きはかま姿で「歌う坂本龍馬」の異名も。09年に高知県から「高知県観光特使」に任命された。「自分の道は自分で切り開く」松尾自身のモットーが龍馬の生き方と重なる部分がある。「ホスピタル」以外の活動にはスタイリッシュな洋服で臨み、ハイトーンボイスのフォークロックは若いファンも多い。
 10年に、音楽人としての目標を定める必要があると思い立った。さだまさし、福山雅治ら郷土の大スターのように10年後の20年4月に稲佐山でライブを開くことを決めた。
 以降、全国各地で1枚千円のチケットを売り続け、迎えた20年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて21年に延期し、21年も開催できず、今年9月に再延期。これまで全国で2千枚が売れた。当日は代表曲の「絆」や「へんぺいそく」など約20曲を披露する。
 松尾は「長崎に錦を飾ると心に決めて、準備を進めてきた。ようやく再会の約束が果たせる。実際のステージでどんな気持ちになるのか楽しみ」と意気込んでいる。
 ライブは松尾が運営する音楽事務所「こころざし音楽工房」主催。午後2時開演。チケットは同事務所のホームページでオンライン販売中。当日券もある。問い合わせは同工房(電070.9000.9403、Eメールcma@omitaka.com)。


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