元ネタを知ってた?『ジョジョの奇妙な冒険』の映画オマージュ名場面4選

映画通で知られる『ジョジョの奇妙な冒険』の作者・荒木飛呂彦先生。それだけに作品本編にも数々の映画オマージュシーンがあるのだとか。『スピード』や『パルプ・フィクション』を彷彿とさせるシーンとは?

人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦先生は、自身で独自視点の映画評論本を出すほどのシネフィルとして知られています。そして『ジョジョ』のなかにも多数、映画が元ネタの場面が登場しています。

今回は、『ジョジョ』のなかから名作映画が元ネタの独特な名場面を振り返ります。

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第1部:ジョージ・A・ロメロ監督『死霊のえじき』

第一部の主人公・ジョナサンは、宿敵の吸血鬼・ディオを倒し、愛するエリナと船で新婚旅行に出かけます。しかし、ディオは首だけになって生き残っており、ジョナサンの体を乗っ取ろうと船に乗り込んで、手下のワンチェンとともに乗客のほとんどをゾンビに変えてしまいます。その際に出てきたのが、壁から無数のゾンビの手が飛び出してエリナに襲い掛かる場面です。この場面は1985年公開のゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロのゾンビ三部作の3作目『死霊のえじき』の冒頭の場面、ヒロイン・サラがカレンダーを見ているといきなり無数のゾンビの手が出てくるシーンに構図含めてそっくりです。

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シチュエーションとしてもジョナサンvsディオの戦いの「三幕目」の幕開けとして配置されており、「まだ悪夢は終わっていない!」という演出として的確な映画オマージュだと思います。

第3部:スティーヴン・スピルバーグ監督『激突!』

第3部にて、車と一体化した恐るべきスタンド「ホウィール・オブ・フォーチュン(運命の車輪)」は、承太郎一行全員を相手取って追い詰めるほどの強敵でした。

そして、本体のズィー・ズィーもとても狡猾な男で、最初は車で移動中の承太郎たちの前を走っていて、道を譲るサインを出します。そして、ポルナレフが喜んで追い越そうと車線を変更すると、なんと目の前の曲り道から巨大トラックが!スター・プラチナが止めなければ、全滅の危機でした。そしてズィー・ズィーは、決着がつくまで筋肉質な「腕」しか姿を現しません。このまるで車自体が怪物として襲ってきているような演出(実際そうなのですが)は、明らかに巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督の長編デビュー作『激突!』のオマージュです。

セールスマンがある大型トラックを無理に追い越したところ、そのトラックがずっと執拗に追いかけてくるというスリラー映画で、同作では運転手は腕だけしか見えず、最後まで正体不明。まるでトラック自体が怪物に見える恐ろしい作品です。

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途中でカフェに寄ってミラー越しに「あの車がいる!」と分かる場面もそっくりなのですが、『ジョジョ』では本体のズィー・ズィーは腕だけムキムキで、他はガリガリの小男で、みっともなく命乞いをするという少年マンガらしいスカッとするオチをつけ、また別の後味を醸し出しています。

第4部:キアヌ・リーヴス主演『スピード』

日常に潜む敵の恐怖を描く第4部の刺客のなかでも、特に絶望感が強かったのが、自動追尾型スタンドの元祖「ハイウェイ・スター」です。

事故を起こして入院中の不良高校生・噴上裕也が本体で、トンネルのなかに仕掛けた罠にかかったターゲットを延々と追い続けて相手の養分を吸い取るという能力。

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追いかけられている相手は時速60キロ以上で逃げないと、捕まってしまいますし、振り切ったと思って止まってもその瞬間にまた「ハイウェイ・スター」が襲ってきます。足跡の形に分裂してビタビタと迫ってくる絵は恐怖しかありません。この能力の元ネタは「時速60キロを切ったらダメ」という設定からわかる通り、キアヌ・リーヴス主演のアクション映画『スピード』でしょう。4部連載中の94年年末に公開され、間を置かずに作品内に取り入れられました。

アメリカとも違う、日本の田舎町でバイクで60キロで逃げ回るにはどうすればいいのか、というアイデアも凝らされており、主人公・仗助が走りながらまさかの方法で「クレイジー・ダイヤモンド」の修復能力を使う場面は忘れられません。

第7部:クエンティン・タランティーノ監督『パルプ・フィクション』

第7部のラスボスでアメリカ合衆国大統領のファニー・ヴァレンタインは、ことあるごとにある「ハンカチ」を使っていました。そのハンカチには、彼がアメリカのために純粋に「聖なる遺体」を集めようとする強烈な「愛国心」のルーツがあったのです。ファニーの父は彼の幼少期に戦争で捕虜になり、拷問の果てに死亡していました。そして彼の戦友が終戦後に家を訪ね、ファニーに拷問中ずっと父がくりぬかれた目の眼窩に隠し持っていたハンカチを渡します。

そのハンカチにはファニーの誕生日が記されており、彼の最も大事なものとなりました。ジョニィ・ジョースターとの最終決戦でも、このハンカチを出して大事な誓いをしています。

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この場面はタランティーノ監督の出世作『パルプ・フィクション』で、ブルース・ウィリス演じるボクサーのブッチが幼少期を回想するシーンへのオマージュでしょう。ベトナム戦争で捕虜になって死んだブッチの父が赤痢になりながらもお尻の穴に隠し続けた懐中時計を、クリストファー・ウォーケン演じる父の戦友が届けに来る場面にそっくりです。

『パルプ・フィクション』では、ちょっとエピソード含めて笑ってしまう奇妙な場面でしたが、『ジョジョ』では大統領の異常な信念と愛国心のもとを説明する重要なシーンになっていました。このように、『ジョジョ』では数々の名作映画の場面がオマージュされつつ、作品にフィットした独自の名シーンになっています。映画好きにはぜひ読んでほしい作品です。

(執筆:今泉)

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『 JOJOTREE ジョジョの奇妙な冒険 in TOKYO SKYTREE(R)』概要

キービジュアル (C)A&LS,JOJO TAP (C)TS

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■期間 2022年5月10日(火)~8月9日(火)

■場所 東京スカイツリー天望デッキ、 天望回廊

※展望台への入場でご覧いただけます。

■場所

東京スカイツリー天望デッキ、 天望回廊

※展望台への入場でご覧いただけます。

■内容

1 天望回廊での展示・装飾

2 天望回廊 特設ショップでの限定オリジナルグッズ販売

3 天望回廊 フロア445での限定オリジナルフォトサービス販売

4 天望デッキ フロア340「SKYTREE CAFE」での限定オリジナルカフェメニュー販売

5 天望デッキ フロア350「SKYTREE ROUND THEATER(R) 」での特別映像の上映

6 天望デッキ フロア350での限定コスチュームを着たソラカラちゃんのお出迎え

7 特別ライティング点灯

※内容は変更となる可能性があります。

■「ジョジョの奇妙の冒険」について

原作漫画連載開始25周年を迎えた2012年に、 初のテレビアニメーションとして「ジョジョの奇妙な冒険」(原作第1部・原作第2部)を放送。 シーン特色・カット特色など漫画の書き文字を文字エフェクトとして演出に取り入れるなど原作の魅力を損なうことなくアニメーション化。 ファンから高い支持を得る。

その後、 2014年に「スターダストクルセイダース」(原作第3部)、 2016年に「ダイヤモンドは砕けない」(原作第4部)、 2018年には「黄金の風」(原作第5部)とテレビ放送。 2021年にはシリーズ最新作「ストーンオーシャン」(原作第6部)の全世界配信がスタート。 2022年にアニメシリーズ10周年を迎える。

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