「最期まで頑張って生きた」 7歳で亡くなった少女の“精霊船” 色鮮やかに

色鮮やかに飾り付けられた綾心さんの精霊船の周りに集まった親族や友人ら=時津町

 昨年11月、小児がんのため7歳で亡くなった磯綾心(あやみ)さん=長崎県西彼時津町日並郷=の精霊船が15日、大好きだったプリンセスやドレスをイメージしてかわいらしく飾り付けられ町内で流された。
 母の亜希子さん(44)、祖母の京江さん(69)と暮らしていた。自由の森保育園(同町西時津郷)に通っていた2020年8月、ふらつきやしびれなどの症状が出て、脳幹に腫瘍ができる小児がんと診断された。5歳だった。余命は半年から1年ほどと言われた。
 日に日に体調が悪化していく中、放射線やステロイドなど苦しい治療を頑張って受けた。入退院を繰り返しながら、昨春には卒園式や町立時津北小(日並郷)の入学式に車いすで出席。周囲に支えられ、授業もできる限り受けた。昨年11月、在宅治療中に体調が悪くなり、最期は亜希子さんの胸に抱かれて迎えた。
 プリンセスやドレスなどが大好きで、「将来は洋服のデザイナーになりたい」と話していた。そんな綾心さんのため、シンデレラが乗るカボチャの馬車をイメージして骨組みした精霊船には、友達や知人らが色鮮やかな花や風船をびっしり飾り付けた。手作りながら豪華な船に「まるで結婚式みたい」との声も聞かれた。
 夕方、自宅を出発した船は、綾心さんが闘病中、車いすでよく散歩した道を通り町内の流し場へ。亜希子さんは「本当に最期の瞬間まで頑張って生きた。天国で、とにかく笑顔で幸せにいてほしい」と話した。


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