8月16日、静岡県浜松市北区の工場から濃硫酸最大1000リットルが流出する事故がありました。専門家は安全か、どうかは見た目で判断するのが難しいと注意を呼びかけます。
<山口駿平記者>
「こちらが硫酸が漏れ出たという水路です。においや見た目には特に変化はありませんが、タニシや魚が死んでいます」
濃度90%以上の硫酸「濃硫酸」が流出したのは、浜松市北区細江町にある「日本ケイカル」の工場です。事故は、8月16日の朝に発覚しました。
硫酸を希釈する水が何らかの原因で供給されず、タンクとパイプを損傷、流れ出た量は最大1000リットルとみられます。濃硫酸は、土壌に浸透し、一部が水路に流出していて、周辺では17日朝の時点でpH3.5程度の酸性が確認されたということです。
16日から回収や中和作業が進められています。近くの米農家によると周辺の田んぼは硫酸が流れ出た水路とは水源が違うため、影響は少ないものの心配だと話します。
<近隣の農家>
「化学車が消防車が出ていったもんですからまさかとは思ったんですけど、化学物質が流れるなんて想定外のことでしたので驚きました。今後こういうことがないようにしていただくと農家としてはありがたいです」
工場では、けい酸カルシウムの保温材を生産していて、生産時に出るアルカリ性の水分の中和剤として、硫酸を使っているということです。硫酸は、厳重な管理が必要な化学物質で、専門家は周辺で違和感を感じたら、すぐに浜松市などに相談してほしいと話します。
<静岡理工科大学 小土橋陽平准教授>
「濃硫酸は匂いのない透明な液体で粘性がある。水に溶けるため見た目だけでそこに硫酸があると判断するのは難しい。水路の酸性度や土壌の酸性度を継続的に測定して、しっかり安全だと確証を得ないといけないと思う」
今回の事故で、けが人や田畑への影響は確認されていませんが、工場側は、水路には近づかず、井戸水は使わないよう呼びかけています。