AOKI汚職 東京五輪の公式服装 1600人分を製作、自社マーク入れず 「総力戦の作品」に汚点

AOKIが手掛けた東京五輪・パラリンピック公式服装

 東京五輪・パラリンピックの大会スポンサー、AOKIグループの元トップらが逮捕された汚職事件。日本選手団が開会式などで身を包んだ公式服装は、AOKIが「総力戦」で手がけた作品だった。

 ニッポンを纏(まと)う─。日本オリンピック委員会(JOC)などが提示した公式服装のテーマに対し、AOKIは白のジャケットと赤いパンツなどの組み合わせを選択。2019年の公募で製作の権利を勝ち取った。

 着用の対象となるアスリートらは約1600人に上った。同社は、経験豊富な社員らによる特別チームを組織。短時間で各選手の採寸を行い、要望を聞き取ってこだわりの1着を次々と仕上げていった。

 公式服装にAOKIのマークは入っていない。製作に携わった1人は昨夏、神奈川新聞社の取材に対して、商売が目的ではないと強調。「ただ選手を応援したいという気持ちだけで取り組んだ」と語っていた。

 しかし、その過程でやりとりされた不透明な資金に捜査の手が伸びた。公式服装の公募に参加した経験のある企業の関係者は「公平公正をうたう祭典の舞台で不正があったとすれば、ただただ残念」と話した。

 AOKIホールディングス(横浜市都筑区)はこの日、「捜査に全面的に協力する」とし、「多大な迷惑と心配をかけたことを心よりおわびする」とのコメントを出した。

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