JR宇都宮駅西側の次世代型路面電車(LRT)の整備区間が17日、公表されたことを受け、沿線の関係者には利便性向上や経済効果への期待感が広がった。一方、東側の整備で浮上した事業費の増加や需要見込みの問題を踏まえ、西側延伸を懸念する声もある。
宇都宮中心商店街みやヒルズ活性化委員会の竹川哲夫(たけかわてつお)会長は「東武宇都宮駅周辺とJR宇都宮駅周辺、ベルモールの三つの大きな商業地域を結ぶ交通インフラとなり、大きな経済効果があると思う」と期待。LRTのレール敷設に伴い「車線区分や部分的拡張も必要かと思う」と道路整備も求める。
発着点となる駒生1丁目の県教育会館近くで働く富士見が丘1丁目、建物管理業浅倉文雄(あさくらふみお)さん(73)は「(延伸は)大賛成。まちなかには高齢者が集まれる公民館やプラザがあるので、気軽に出かけて交流できるようになるといい」と歓迎する。
「検討区間」となった大谷地域を含む城山地区コミュニティ協議会会長菊地重栄(きくちしげえい)さん(72)は「一歩前進。観光で県外の人も呼べるように、市内1番の観光地である大谷まで延伸してほしい」と望む。
一方、市中心部の西地区まちづくり推進委員会会長松岡明直(まつおかあきなお)さん(78)は「東側も工事に時間がかかった。時代が変われば無人で動く車が走っているかもしれない。市民全体でお金を負担することになるので、市民の総意をもう一度確認してから進めるべきだ」と慎重な検討を求める。
県教育会館近くに住む宝木町1丁目、無職藤沢恒夫(ふじさわつねお)さん(71)は「車が使えない年齢になったら便利かもしれないが、駅の東側に行くことが少ないので、生活が変わるかどうか分からない」と首をかしげる。
市民団体「宇都宮市のLRT問題連絡会」事務局の渡辺一憲(わたなべかずのり)さん(75)は、概算事業費について「東側と合わせて1千億円を超える」と指摘。「新型コロナウイルス感染症の影響で、利用者が減ることも予想される。東側の需要見込みの問題を解決することが先だ」と、西側延伸を疑問視している。