台風被災の映画フィルム修復 9月に多摩区で上映会 川崎市市民ミュージアム

修復が完了した映画「河 あの裏切りが重く」の一場面(川崎市市民ミュージアム提供)

 2019年の台風19号で被災した川崎市市民ミュージアム(同市中原区)は、水没した映画「河 あの裏切りが重く」(1967年)のネガフィルムからデータを取り出してデジタル修復版を作った。来月2日に多摩市民館大ホール(同市多摩区登戸)で上映する。

 同映画のネガフィルムは2006年に森弘太監督から寄贈されたもの。現存する唯一のネガフィルムで、地下収蔵庫で保管していたが台風の浸水で被災した。

 国立映画アーカイブ、広島市映像文化ライブラリー、IMAGICAエンタテインメントメディアサービス(東京都)が協力、応急処置を経て21年9月に修復を始め、今年3月末に終えた。

 デジタル修復した作品を再びフィルムに焼き付け、35ミリフィルムを作った。デジタル化が進む中でフィルムを選んだ理由を同ミュージアムは「映像メディアが世代交代してもフィルムがあれば次世代メディア向けに修復できる。長期保存には多くの情報を記録できるフィルムの方が良い」とする。

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