米国の半導体産業支援法、台湾企業や韓国企業にとっては「毒」か―中国紙

中国紙・環球時報は17日、米国の半導体産業支援法、いわゆる「CHIPS法」が台湾や韓国の企業にとって「毒薬」になる可能性があるとの記事を掲載した。

記事はまず、「同法では、米国に半導体生産工場を設立した企業に補助を出すが、補助を受けた企業は10年間、中国本土で28ナノメートル以下の半導体の生産量を拡大することができず、規定に違反した場合は補助金を全額返金しなければならない。これが韓国と台湾の半導体メーカーをジレンマに陥れている」と伝えた。

その上で、「米国のCHIPS法が可決された後、TSMCが米アリゾナ州に投資する120億ドルのうち、3分の1に当たる約40億ドルを米国が補助すると報じられた。しかし、米国の『ボーナス』を前にしても、今のTSMCに楽観ムードはない」と指摘。TSMCの劉徳音会長が「中国本土市場はわが社の売上高の約10%を占めており、非常に大きい」と述べたことを挙げ、「TSMCは南京市に16ナノメートルと28ナノメートルの半導体製造工場を持っているが、この点が米国のCHIPS法で直接標的にされる。TSMCの第一の顧客はアップル社だが、アップルの第2の収入源はまさに中国本土市場だ。アップルのファウンドリも主に中国本土で行われており、TSMCの業績と中国市場の関係は大きい」と指摘した。

また、データ分析機関スタティスタの統計を基に、「米国の半導体は世界シェアの落ち込みが顕著で、中国本土のシェアが急速に伸びている」と説明。「それだけに、台湾ではTSMCが中国を捨てて米国に跳び付くとは考えられていない。現在の見立てでは、TSMCは米国工場での生産を2024年には全体の3%にとどめると予想されている」と伝えた。

記事は、「米国の補助を受ければ中国本土での半導体産業の将来的な発展のチャンスを事実上放棄することになる。このような二者択一はどんなメーカーにとっても耐えられないものだ。台湾内ではCHIPS法を警戒する世論もあり、『毒』だとさえ考えている」とし、台湾メディアの中時電子報が、補助を出す半面、中国での拡大を制限するCHIPS法を「偽物のアメ、本物の毒」と評したことを紹介した。

記事は続いて、韓国にも言及。朝鮮日報の13日付の報道を引用し、「サムスン電子の唯一の海外半導体メモリ工場である西安工場は、半導体メモリ生産量が世界の15%(サムスン全体の生産量の40%)を占めている。SKハイニックスの無錫工場のDRAM生産量も世界の15%(SKハイニックス全体の半分近く)を占めており、こうした半導体メーカーが米国の政策で廃業したり、低質な製品しか生産できなくなったりすれば、米国企業を含むグローバルIT企業に深刻な影響が及ぶことになる」と伝えた。

また、韓国メディアの韓国経済が「CHIPS法の真意に注目する必要がある」とし、「米国は補助金で韓国や台湾の企業を誘致して米国に半導体工場を建設させた後、政治・外交力で技術移転を迫ると予想される。また、中国生産を制限することで韓国メーカーの生産コストと投資コストの負担を増やし、米国政府の言いなりになっている半導体メーカーだけが成長することになるだろう」と警鐘を鳴らしたことも伝えた。

記事は、「韓国では米国の政策は短期的には中国を抑え込む効果があり、韓国にとって有益と見る声があるものの、長期的には韓国にとって危険要因だとする懸念が出ている」と説明。世界最大の半導体市場である中国市場が萎縮すれば、韓国の半導体メーカーにとっても困難な状況になると伝えている。(翻訳・編集/北田)

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