ドローンショー、屋内ドローンショー開催。企業社員総会で拍手喝采[ReportNow!]

2022年7月6日に

「インドアドローンショー」の提供を開始したと発表した

株式会社ドローンショー。

初実績は、都内ホテルの宴会場で開かれた、某大手警備会社の社員総会だったという。当日のサービス提供内容や、同社「インドアドローンショー」や今後の展望について聞いてみた。

900名参加の社員総会で拍手喝采

ホテル大宴会場の前方ステージに、幅5m×奥行5m×高さ4mのドローンショースペースを確保し、13台の小型機が舞った。機体のサイズは202(L)x202(W)x80.5(H)mm 、重量はバッテリー込みで188g。ショーを依頼した某大手警備会社のニーズは明確だったという。

"毎年2回は、全国から社員が集まって、社員総会を実施してきたが、コロナで2年連続できなかった。ようやく集まれるタイミングなので、みんなが驚くようなイベントを企画したい"

実施日は7月1日で、依頼があったのは5月下旬。社員総会を実施する場所はすでに決まっていたため、急いでロケハンを行い、会場の要件を確認したうえで、アニメーションを制作、ショーの内容をすり合わせたという。

ドローンショー代表取締役社長 山本氏:会場は、天井高が約7mで、そこから1mくらいは、豪華なシャンデリアがありました。ドローンショーの空間は高さ4mに設定しました。

10数社あるグループ会社に、それぞれコーポレートカラーがあり、この配色をうまく活用しました。また背景のスクリーンに映し出される動画と、うまく連動させて演出したい、と先方のイメージが明確でしたので、短期間で形にすることができました。

同社の社員総会に出席したのは約900名。いずれの席からも、前方ステージのドローンショーははっきりと見え、約5分間のショーを終えると、参加者からは拍手喝采だったという。役員からは、「ドローンの可能性を肌で感じられた」とのコメントもあったという。

当日のインドアドローンショーの様子

インドアドローンショーのデモフライト動画

制御範囲は「20m×20m×5m」最大40機まで

同社のインドアドローンショーは、独自開発したドローンを、屋内の特定の範囲内で群制御して飛行させる。機体の位置測位および制御にはUWB(Ultra Wide Band・超広域無線通信)を使用。周波数帯域は2.4GHz。モーションキャプチャシステムよりも遥かに安価に提供できるという。

前述のショー実施時には、音響機器など電波を発する機器による電波干渉を懸念していたが、問題なく安定飛行を披露できた。機体を制御するためのGCS(Ground Control System)も、独自開発した。

現段階の技術で制御可能な空間範囲は、幅20m×奥行20m×高さ5mで、最大40機まで群制御できるという。ミュージカルなどの舞台や、ミュージシャンとのコラボレーションなど、エンタメ領域でのニーズは高い。アウトドアドローンショーと比べて、準備期間や金額を抑えられるのも魅力の1つだ。

インドアドローンショー用の機体

提供パターンは2つあるという。1つは、同社がショーの企画提案から実施まで請け負う「実施型」で、約5分/回の演出で100万円〜(税別)。もう1つは、同社が機材を販売して、購入企業が自らドローンショーサービスを提供する「購入型」で、予備機を含めた機体25台とGCSセットで300万円〜(税別)。この場合は、ラトビアでドローンショーを提供するSPH Engineering社と同じく、購入の条件として自動操縦講習を実施し試験に合格することを課す予定だ。

今後1年は「実施型」に重点を置き、ノウハウやアニメーションパターンのストックを貯めて、「購入型」へとシフトしていくという。また現在は、インドアドローンショー用の商用機体とGCSをいずれも海外企業と共同開発しているが、国産化も視野に入れる。ちなみにアウトドアドローンショー用の商用機体「unika(ユニカ)」は、長野県伊那市に本社を置く製品設計会社である有限会社スワニーとの共同開発で、2022年8月1日に受注開始を発表した。

アウトドアドローンショー用の機体「unika」

「ドローンショー」3つの強みと今後の展開

ドローンショー代表取締役社長 山本氏:我々は、メイドインジャパンの再定義を目指している。価格は海外と同等だけど、圧倒的に高品質のものを作っているのが日本、とリブランディングしていきたいです。ドローンショーの商用機体と群制御システムの開発で培った「3つの技術力」が我々の強みなのです。

1つめは、自動操縦技術。2つめは、群制御技術。3つめは、用途に合ったハードウェアを開発する技術です。

社名は「ドローンショー」ですが、それはあくまでもドローンをエンタメという一般の方も受け入れやすい領域で広めることで、社会実装を加速させたかったからなのです。次の展開として、点検や農薬散布など産業用途への製品サービス提供も見据えています。

同社が数年後、自動操縦、群制御、用途特化型機体開発という、3つの強みを活かして、どのように産業分野へ進出するのか、いまから期待されるが、特筆すべき同社の注目ポイントは、開発から社会実装までのスピードの速さだ。

同社は設立から約半年で、アウトドアドローンショーを初実施して成功させ、すでにドローンショーを実施するための群制御システムを販売しており、今夏商用量産機体の受注を開始と、着実に駒を進めている。これまで機体開発を外部からサポートしてきた、ドローンレースチーム「JAPRADAR」メカニックの門前龍汰氏が、正社員として正式に同社にジョインしたとのことで、さらなるスピードアップが予想される。

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