朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ～ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ～ナのカフェボンボン」の本棚は、『誕生日の雨傘』。
多感な少女たちの揺れる心を柔らく描いた小説集、新刊です。女優の柊子さんのデビュー小説として話題の一冊です。
『誕生日の雨傘』
著者：柊子
出版社：文藝春秋
１４歳の誕生日の朝、夏美は大嫌いな制服に袖を通した。学校になんて行きたくない。昨日の夜はわざとお風呂にも入らなかった。明日は学校には行かないと決めていた夏美だけれど、朝になれば心の中でこう呟く。「ありがと。昨日の夜の私。でも大丈夫、ちゃんと行くよ、今日の私」——。（「誕生日の雨傘」）
物語の主人公たちは、いじめやスクールカーストのある学校に通い、つらく苦しい日々を送っています。傷ついた心の内は誰にも決して明かさない。著者は、そんな少女たちの本当の気持ちを繊細にていねいに描き出します。ギリギリの淵に踏みとどまって、今日を乗り越えようと必死に孤軍奮闘する少女たち。やがて十代から二十代へと成長し、それぞれの人生を歩む彼女たちを見つめる眼差しも柔らかくあたたかい。
主人公をとりまく人たちもとても魅力的に描かれています。「じゃない方のマスカラ」に登場するクラスの地味な女子・祥子はとくにチャーミングで、その後の彼女の物語を知りたいと思いました。
著者の柊子さんは、ＮＨＫの連続テレビ小説『まれ』をはじめ、映画『結婚』、ＷＯＷＯＷ連続テレビドラマＷ『コールドケース２』など、数々のＴＶドラマや映画に出演。さらに十代の頃から作詞も続けてきたという柊子さん。きらめく才能あふれる小説集をぜひ。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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