医療現場のひっ迫解消せず「みなし陽性」の運用開始から間もなく2週間 宮城・仙台市

宮城県内で「みなし陽性」の運用が始まり、間もなく2週間。検査をせず、医師の判断でコロナの診断をする「みなし陽性」は医療機関の負担軽減につながっているのでしょうか。

新田記者「こちら、青葉区の小児科です。駐車場には発熱外来を待つ車が多く見られる状態です」

かわむらこどもクリニックは、お盆の期間も発熱外来の診察を続けてきました。

新型コロナの感染が疑われる症状がある患者は原則、駐車場に止めた車の中で診察を行います。

1日の検査数は多い日で約80件と、第7波の前と比べて5倍以上に増えています。

川村院長「家族にコロナの陽性者がいて、家族の濃厚接触者で熱上がったり、症状が目立っているような人は、みなし陽性といって検査しないで登録するから」

発熱外来を担う多くの医療機関がひっ迫する中、宮城県は今月5日に陽性患者と同居する家族などに発熱などの症状があった場合、PCR検査などを省略して医師の判断で感染者とみなす、「みなし陽性」の運用を始めました。

導入して以降、県内の新規感染者3万7665人のうち、みなし陽性の患者は1394人を占めています。

こちらの小児科でも、これまでに約100人をみなし陽性と判断しました。

しかし、医療体制がひっ迫している状況に変わりはありません。

かわむらこどもクリニック・川村和久院長「昼休みは取れない。診療が終わったのは、通常から1時間過ぎて、看護師が帰ったのは8時ごろで、HER−SYSに入力するが、終わるのが午前0時。そういう状況です」

新型コロナでは、感染症法に基づいて、医療機関から保健所に、すべての感染者を届け出る「全数把握」が義務づけられていて、医療機関のスタッフなどがHER−SYSと呼ばれるシステムに登録する作業を担っています。

川村院長はこの「全数把握」の見直しが、負担軽減に結びつくと指摘します。

川村院長「ある年齢以上や、リスクを持った方は全数把握をする。残りは定点で数の傾向を見る。そうすれば我々の負担も減るしその先の二次、三次医療機関の負担も減ると思う。

全数把握について厚生労働省は、医療機関などの負担を軽減するため、見直しに向けた検討を始めています。

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