「夏休みの宿題はなぜ必要なのか」校長先生に直接聞いてみた 香川

「夏のギモン」と題してPark KSBアプリに寄せられた「夏に関する疑問」についてお伝えしていきます。今回は「夏休みの宿題」についての疑問です。「なぜ必要なのか」や「歴史」についても取材。子どもたちや学校の声とともにお伝えします。

「夏休みの宿題」についてまずは、夏休み中の子どもたちに聞いてみました。

夏休みの宿題、誰が決めてる?

記者「夏休みの宿題って誰が決めてると思う?」
小学5年生「担任の先生たち?」「国?」
小学2年生「わからん」

実際に宿題をしている子どもたちもよくわかっていない様子。それなら――。

(記者)
「『夏休みの宿題』って文部科学省で決めているんですか?」

確認したところ、文部科学省も香川県教育委員会も高松市教育委員会も「夏休みの宿題」について通達や通知は出していないそうです。となれば、残るは学校……? 直接聞きに行ってみました!

記者「夏休みの宿題って誰が決めているんですか?」
(亀阜小学校/久保直人 校長)
「夏休みの宿題はその学年の担当の先生方がそれまでの子どもたちの勉強の様子を見て、ふさわしいと思うものを決めております。校長先生とか教頭先生が決めているのではありません」

誰が決めているのかわかったところで、この疑問をぶつけてみました。

「夏休みの宿題はなぜ必要なのか」(高松市 ひろと [67])

記者「夏休みの宿題はなぜあると思う?」
小学4年生「さぁ、知らん」
小学3年生「絶対にせないかん宿題だから?」
小学5年生「わからない」「これできない。忘れた。みたいにならないように?」「(Q.自分は大変ではない?)大変……」

この疑問についても亀阜小学校の久保校長に聞いてみました。

記者「夏休みの宿題は必要なんですか?」
(亀阜小学校/久保直人 校長)
「それは必要と考えています。家の中で机に向かって勉強するのも大事だが、夏休みを利用して自分の周りの地域へ出掛けていくとか、いろんな体験を通して不思議だと思うことを見つけたり、調べていく。そういった時間にすることが意味があることだと思う。私自身も小さい頃は、しょっちゅう昆虫を探しに行って、どの時間帯にどの木を巡ればどこそこにこういうクワガタムシがいるとか、そういったものを探りながら夏休みの時間を過ごした経験がある」

記者「そんな校長先生の少年時代は夏休みの宿題についてどうお感じになられてた?」
(亀阜小学校/久保直人 校長)
「それはまぁ、宿題だからね。しないといけないなぁというのはもちろんありました。でもね、子ども時代を考えたら大きくはね、休みは休みたいとかね、そういう気持ちはね、大きくは変わりません」

「自由研究などがいつから始まったのか」(総社市 ななさん[50])

「昔の夏休み」に関する資料が展示されている高松市の香川県立ミュージアムを訪ねました。

(香川県立ミュージアム 学芸員/黛友明さん)
「こちらは、121年前に児童に配られた『夏季休業の心得』という資料。一番最後に、休業中、日誌をつけて登校日に提出しましょうと書いてあって、これが当時の、今で言う夏休みの宿題だったのかなと」

ほかにも、朝5時に起きて東に向かって校訓を読むことや3時間の復習をすることも求めています。

同じ時代に、夏休みを迎えるに当たって保護者に配られた特別通信(1903年 陶尋常小学校)には、「気ままに任せて遊ばさず、必ず毎日時間を決めて復習をさせるように」と書かれています。

記者「だいぶ厳しめに書いてありますね」
(香川県立ミュージアム 学芸員/黛友明さん)
「『なまけのくせの付かぬようにせらるべし』とだいぶ厳しく……。こういうような形で保護者にも注意を促していた」

また、約70年前に香川県の教職員組合が作った宿題には、郷土について学んだり、家畜の世話など家の手伝いをしたりするように、とありました。

「自由研究の始まり」などはわかりませんでしたが、「夏休みの宿題」が昔からあり、時代とともに移り変わっている様子が見えました。

(香川県立ミュージアム 学芸員/黛友明さん)
「夏休みの宿題って、先生たちとか大人が子どもに夏をどう過ごしてほしいのかということの反映でもあって、子どもがこういうふうに過ごしていたのかなということと、大人はどういうふうに過ごしてほしかったのか、そういうところが見えてくるというのがひとつ面白いところ」

© 株式会社瀬戸内海放送