一極集中是正 地域振興へ意見交換 本紙シンポ 県内での取り組み示す

東京一極集中の是正などについて有識者が意見を交わしたシンポジウム

 東京一極集中の是正や持続可能な地域づくりの実現に向けた方策を探るシンポジウム「これからの日本、岡山」(山陽新聞社主催)が18日、岡山市北区柳町の山陽新聞社さん太ホールで開かれ、有識者が岡山県内での取り組み事例を示しながら意見を交わした。

 作家の高嶋哲夫氏、一般社団法人吉備高原オープンイノベーション協会の中島基善会長、岡山大大学院の中村良平特任教授、EnPalの金藤純子社長、岡山青年会議所の石井聖至理事長が登壇した。

 高嶋氏は東京一極集中の弊害として、将来の発生が懸念される首都直下型地震や富士山の噴火によって国内インフラが甚大な被害を受けるリスクを挙げ「東京の首都機能は思いのほか脆弱(ぜいじゃく)だ。地方に分散させる必要がある」と強調。2018年の西日本豪雨で倉敷市真備町地区の自宅が被災した金藤社長は「一極集中も大規模災害に対する意識の低さが招いた結果だ」と述べた。

 中村特任教授はそうした指摘に同調しつつ、新型コロナウイルス感染拡大に伴い地方移住の機運が高まっているとのデータを踏まえ「地方が主体性を持って移住の促進に取り組めばさらに広がる可能性がある」との見方を示した。

 地域振興に向けた具体的な取り組みとして、中島会長は吉備中央町の吉備高原都市を拠点に行っている起業家支援を紹介し「自然環境の良さも生かし、若い世代や女性が新しく事業を始めたいと思える場をつくっては」と提案。石井理事長は夏の風物詩「うらじゃ」をはじめとするイベント開催に力を入れているとして「子どもたちが岡山で育ったことに誇りを持ち、住み続けたいと思えるようにしたい」と語った。

 シンポジウムは山陽新聞が21日に紙齢5万号となることを記念した企画「一歩プロジェクト」の一環。市民ら約130人が聴いた。

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