障害ある子に「本物」の体験を 県教委がV長崎、長崎ヴェルカと連携強化

 長崎県教委は本年度から、V・ファーレン長崎と長崎ヴェルカの県内プロスポーツクラブと組み、障害のある子どもたちが「本物」を体験できる環境づくりに力を入れている。9月はV長崎のホームゲーム(熊本戦)に特別支援学校の児童生徒、保護者ら400人を招待。今後は観戦だけでなく、スタジアムでの職場体験なども展開していく予定だ。
 中﨑謙司教育長と両クラブの社長を務める岩下英樹氏が7月に懇談。「本物」の体験が子どもたちにもたらす可能性について、意見が一致した。ホームゲーム招待は思いに共感したパートナー企業の協力で実現。今月27日の栃木戦では、試合前のピッチ上で希望が丘高等特別支援学校の和太鼓部が演奏する機会も用意されている。
 18日、県庁でチケットを贈呈した岩下社長は「一つ一つの経験が将来を変えていく。ハンディのある子どもたちが楽しい空間を体験し、社会や仕事を知るきっかけになれば」と期待。ユニバーサルデザインの観点からも「(観戦招待により)誰もが楽しめるスタジアムづくりへのヒントも得られるのではないか」と述べた。
 来シーズンはスタジアムや練習場でのグッズ販売、清掃、事務など職場体験も検討中。2年後に長崎市に完成予定のスタジアムシティでも一定の障害者雇用が見込まれるとして、中﨑教育長は「障害のある子どもが将来自立して生活していくための『出口』を見据えた動きで、キャリア教育にとって大きな一歩」と強調。「行政だけでできることには限界がある。民間との連携を強化していく」と話した。


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